オーストラリア連邦政府は昨年、日本の外務省と法務省宛てに、国際的な子の奪取に関する項目を含む「ハーグ条約」に則り、国境を越えた子どもの「連れ去り」を禁止する法の制定を求める書簡を送付していたことが分かった。オーストラリア政府の主導でまとめられ、ニュージーランドや欧州諸国、カナダなど他8カ国・地域政府も署名しているという。シドニー・モーニング・ヘラルド(SMH)が伝えた。

 昨年3月に報道番組「60ミニッツ」が、オーストラリア国籍の子どもが日本に連れ去られる問題について報道していた。連邦政府がこの直後の6月に日本政府に対し、欧州連合(EU)や英国、ドイツ政府などとの連署で送付した書簡をSMHがこのほど入手したという。在日オーストラリア大使館が主導し、他8カ国・地域政府が署名したようだ。

 日本では今月にも、離婚後の子どもの親権は片方の親のみに与えられる「単独親権制度」から「共同親権」への移行を盛り込んだ法案を審議する予定となっている。

 連邦政府はまた、連れ去られた子ども宛てに、オーストラリアのパスポートを取得することが可能だとする通知を送付し始めたという。

 ハーグ条約下では、条約違反と認定されると連れ去られた子供は元の居住地に返還されなければならない。だが、日本国内では単独親権制度を背景に、警察は国際刑事警察機構(ICPO)による日本に連れ去られた子どもの追跡要請に応じず、裁判所はもう一方の親の子どもとの面会は家庭内の問題と捉えているため追跡が実質不可能で、国際的に問題となっている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/47219d12f96fb7d8192728ca2f4414568692590f