人口激減の未来地図

2020年の中国の国勢調査によれば、同国の総人口は世界最多の約14億1178万人だったが、これから人口減少によって巨大な消費マーケットや豊富な労働力を短期間で失っていく予測されているのだ。

言うまでもなく中国は巨大な人口を武器として短期間で経済発展を遂げたが、現在ピークにあると言ってよい。経済的に結びつきの強い隣国ではあるが、深追いしすぎると命取りとなりかねないのである。

中国の総人口がどれぐらい減るのかを見ていこう。人口減少については中国政府も認めている。問題はそのペースだ。速ければ社会の負担は大きく、経済成長にブレーキをかける。

そこでポイントとなるのが合計特殊出生率となる。中国政府は2020年の国勢調査に合わせて「1.3」と公表した。これは国連の低位推計が前提としている値に近い。そこで、低位推計による2100年の総人口を確認してみると6億8405万人だ。80年かけてほぼ半減するということである。

ところが、「1.3」という数値については、中国国内の学者からも「実態より高い」といった異論が噴出している。中国国家統計局は2000年の合計特殊出生率を1.22、2015年については1.05としてきており、各国の研究者には「実際には1.0~1.2程度」との見立てが少なくないのだ。

「1.3」に否定的な見方が強いのは、中国政府が発表した他のデータが深刻なこともある。例えば、2020年の年間出生数は1200万人とされたが、2019年の1465万人と比べて18%もの大激減であった。

わずか1年で2割近くも減るというのは尋常ではないが、中国が毎年発表してきた年間出生数にも疑いの目が向けられてきた。それが国勢調査で一挙に表面化した形だ。国勢調査は0~14歳人口を2億5338万人としたが、該当する年の年間出生数を足し合わせても2億3900万人ほどにしかならず、1400万人もの食い違いが生じたのである。

各年の出生数は政府が発表してきた数値よりも少ない可能性が大きく、中国の人口はすでに減少に転じていると分析する学者が少なくない。北京大経済学院の蘇剣教授も、2019年に北京で開催されたマクロ経済に関する会議において、「2018年に減少に転じた可能性がある」との分析結果を公表している。

衝撃的な研究レポートの中身

さらに「1.3」を疑わせることになったのが、中国国家統計局の年報だ。2020年の出生率(人口1000人当たりの出生率)を8.52人と発表したのである。これは比較可能な1978年以降で最低であり、10人を下回ったのは初めてであった。

そもそも人口統計に限らず中国の統計データはかねて信憑性を疑われてきた。これらのデータを総合的に判断するなら、多くの研究者が指摘する1.0~1.2台と考えるのが自然だろう。

合計特殊出生率が1.0~1.2台ならば、母親世代と娘世代と比較して出生数がほぼ半減していくこととなり、総人口はとてつもなく速いスピードで減っていくこととなる。

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