>>676 2018年の実質賃金は再集計され、正確な値が算出されているとされている。
2018年1月より調査方式が変更
2018年1月より調査方式が変更されている。そのため、2018年1月以前と以後の実質賃金の値の比較が出来なくなっている点に注意が必要である。
例えば、30人以上の中規模事業所に対する調査方式が、調査対象を3年ごとに全て入れ替える従来の「総入れ替え方式」から、1年ごとに1/3を入れ替える「部分入替え方式(ローテーション・サンプリング)」に変更された。中規模事業所に対するサンプリング調査では、業績が悪化した企業が倒産などするにつれてサンプルから脱落するので、業績の良い企業だけがサンプルとして残る生存バイアスによって、実勢よりも高い実質賃金の数値が出るようになっていく。そのため定期的にサンプルを入れ替える必要があるが、それまで行われていた、2-3年ごとに全てのサンプルを入れ替える「総入れ替え方式」では、数年ごとの標本総入れ替え時に、それ以前の実質賃金の値と大きな変動幅が生じることが問題となっていた。一方「部分入替え方式」では変動幅は小さくなるものの、入れ替え作業の予算や手間が増える問題があるので、従来は「総入れ替え方式」が採用されていた。しかし2015年の総入れ替え時に平均賃金伸び率に大きな下ぶれがあったことが契機に、「部分入替え方式」に改められた。ただし、この変更には有識者の間にも肯定意見と否定意見があった[8]。
また、「常用労働者」の定義が変更され、臨時や日雇いの労働者が常用労働者から除外されることになった。日雇い労働者は一般に賃金が低いため、これを調査対象から外すことで平均賃金上がる可能性があるとの指摘がある[9]。
また、大企業の比率を増やし中小企業を減らすデータ補正なども行われており、これによって2018年1月の調査では、本来ならサンプルの入れ替えによって実質賃金が下振れするはずにもかかわらず、以前の調査と比較して平均賃金伸び率が大きく上振れするという、異様な数値が出ることになった。数値は「毎月勤労統計の不正調査問題」の発覚後に再集計されたが、それでも2018年の年間の数値は「0.2%増」との試算を政府は行っている[9]。
2019年1月以降の毎月勤労統計調査における実質賃金の値に関しては、調査形式が変更されて1年以上経っているので、前年同月との実質賃金指数の比較などが機能するようになっている。