これが分かりやすかった

水原一平さんはなぜすぐバレる嘘をついたのか (ギャンブル依存症の手記)
https://addiction.report/NorikoTanaka/gamblerslies

この経過を見ると、典型的なギャンブル依存症者の嘘だなぁと感じる。
辻褄が合わずその場しのぎで、その人に合わせた嘘を言ってしまう。
あまりに金額が大きいので惑わされてしまうが、ゼロを2つとって600万円ぐらいで考えれば、ギャンブル依存症者の家庭で日常茶飯事に起っていることである。

例えば、親や祖父母の口座からこっそりお金を盗む。
日本人は、溜め込んでいる通帳を頻繁に見たりしない。案外長い間気づかれないのだ。
だが何かの拍子に家族は気づく。身に覚えのない引き出しに慌てる。当然息子にも心当たりがないか尋ねる。
するとギャンブラーの息子は「全く知らない。サイバー犯罪じゃないの」としれっと答える。

これは特殊な例などではない。
我々の相談会では「でたー!」と思わず声が上がるくらい、日常茶飯事に起きているのである。

その上「妻にバレたら離婚される」などと親に口止めし、妻には「親にだけは知られたくない」などと泣きついて、両方から肩代わりをさせていることもザラだ。

ではなぜ、ギャンブラーはこうしたすぐにバレる嘘をついてしまうのか。

それはもう「頭の中が病気になっているから」としか言いようがない。

辻褄が合うとかあわないとか、慎重に考える理性が働くなり、気がついたらその場しのぎの嘘が口から出ていたという感じである。とっさに嘘をついてしまう、これは病気の「症状」なのである。


また、ギャンブル依存症者は嘘をつき家族は騙せても、自分自身は騙せない。
大切な人を傷つけている自分を「最低だ」と自分自身が一番憤っている。だから仕事は最後の砦であり、唯一のアイデンティティとなっている場合が多い。相談会に訪れる家族はこう言う。
「仕事は一生懸命なんです。仕事はできるんです」「だからギャンブル依存症だとは思わなかった」と。

多くの人はギャンブル依存症者を、遊び人か人間のクズだとイメージしている。
そのため仕事熱心で、子煩悩で、勉強やスポーツもできて、優しい夫であるうちの息子が?うちの夫が?と、信じられないのである。

多くの人が、一平さんの第一報を聞いたとき「まさか!」と思ったのではないだろうか。

英語が堪能で、世界の一流選手に混じって仕事をこなし、真摯でチャラい雰囲気など微塵もない好感度の高い一平さんが、「ギャンブル依存症なんて信じられない」と。

それはギャンブル依存症のことを知らなすぎるために感じるギャップだ。

大谷さんの口座の金を盗んだのはギャンブル依存症という病気では、珍しい症状ではない。
家族間ではしょっちゅう起きているし、前回の記事にも書いたが横領事件など枚挙にいとまがない。


この問題がここまで大事になってしまったのは、そもそも一平さんが最初にESPNに虚偽の説明をしたことが大きい。


①この時、一平さんは、さすがに窃盗のことを言い出せずにESPNに「翔平はしぶしぶ肩代わりをしてくれた」と言ってしまった

②そして球団側の耳に入ると今度は代理人に「それは友人の借金」と説明

③しかし翌日になると、代理人に「実は本当は自分の借金。でも翔平が肩代わりしてくれた」と説明
しかもそれは大谷さんも了承済みだと話す

④そしてチームミーティングで、「自分はギャンブル依存症。借金を翔平に肩代わりしてもらった」と説明
大谷さんには「ホテルで、2人きりで詳しく説明する」とお茶を濁してしまった。

ここで大谷さんは英語を完璧には理解できなかったが、何かが変だと感じる。

そして大谷さんがホテルで詳細を尋ねたところで、全ての嘘がバレる――。