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パキスタンで暴徒が教会を襲撃 コーランが冒涜されたとして

パキスタン東部パンジャブ州ジャランワラで16日、イスラム教のコーラン(聖典)がキリスト教徒の男性2人によって冒涜(ぼうとく)されたとして、数千人のムスリム(イスラム教徒)が教会に放火したり、キリスト教徒の自宅を破壊したりした。警察が発表した。

警察によると、少なくとも4軒の教会に火が放たれた。また住民らは、教会に関連する建物数十棟にも被害があったと述べている。

イスラム教を国教とするパキスタンでは、冒涜罪は死刑となる可能性がある。

これまでこの罪状で死刑が行われたことはないが、冒涜罪に問われた多くの人が、暴徒によって殺されている。

パキスタンでは、人口の96%がムスリムだと言われている。

ロイター通信によると、キリスト教徒2人について捜査した警察は、コーランに侮蔑的な言葉が赤字で書かれているのを発見したという。

「冷蔵庫や家具を持ち出された」
キリスト教徒のヤシル・バッティさん(31)は、自宅から逃げ出した一人だ。

「暴徒は窓やドアを壊し、私たちの冷蔵庫やソファやいすといった家具を、教会の前に積み上げて燃やすために持ち出した」と、バッティさんは語った。

「聖書も燃やされ、冒涜された。やりたい放題だ」

ソーシャルメディアに投稿された映像では、抗議者がキリスト教の建物を破壊している間、警察がそれを眺めているように見える。

パンジャブ州のアミル・ミル情報担当相は声明で、コーランへの冒涜疑惑を非難するとともに、数千人の警官が現地に派遣され、数十人が拘束されたと述べた。

ロイター通信は、政府筋の話として、暴徒はイスラム主義政党「パキスタン・ラバイク運動(TLP)」の関係者が大半だと伝えた。TLPは関与を否定している。

アンワル・ウル・ハク・カカール暫定首相は、暴力に関わった人々に対する迅速な対処を呼びかけた。

近隣のラホールのパキスタン人のアザド・マーシャル司教は、キリスト教コミュニティーはこの出来事に「深く傷つき、苦しんでいる」と語った。

マーシャル司教はX(旧ツイッター)に、「法執行機関と正義を司る人々の正義と行動を求めるとともに、全市民の安全が直ちに実現され、私たちの故郷で私たちの命が尊重されることを保証してくれるよう、強く求める」と投稿した。