日本の首相として8年ぶりにブラジルを訪問した岸田文雄首相と3日(日本時間4日)に会談したルラ大統領が、共同記者発表で率直な思いをまくし立て独壇場となった。
日本とブラジルの貿易額が減少傾向にあることに不満のようで、岸田首相を前に「日本の人口、ブラジルの人口に鑑みれば少なすぎる」とぴしゃり。用意された原稿をそのまま読み上げた首相とは対照的に、原稿を全く読まずに「ルラ節」をさく裂させた。

 ルラ氏は、ブラジルに200万人を超える日系人が在住していることを踏まえ「日系人が一番集中している国だ。もっとブラジルにいらしてください」と切り出し「人工知能(AI)やデータ産業への投資先として大きな潜在能力がある」と強調。
貿易関係をより緊密にすべきだとの認識を繰り返し、隣で苦笑いを浮かべる首相に対し「ブラジルの牛肉をぜひ輸入してもらいたい」と単刀直入に呼びかけた。

 成長を背景とした自負心をのぞかせる場面も。「我々は大国になることを決心した。経済・社会の安定がそろっており、透明性がある。もはや第三世界ではない」と言及。
「再生エネルギーの投資先としてブラジルはパラダイスだ」と表現し、首相に同行した日本企業関係者に向けて「世界地図を見てブラジルに投資するんだと決意してください」と再び投資を迫り「演説」を締めくくった。

会談の中身について、ほとんど触れなかった。【ブラジリア村尾哲】

https://mainichi.jp/articles/20240504/k00/00m/030/018000c