それでも異性のファンからちやほやされる機会は多いので、自分に恋愛感情があると勘違いした役者が好き勝手にファンに手を出してしまうケースが多いです。

 また、いわゆる昔の映画業界のように、演技指導などを名目に、若い女性声優がプライベートで呼び出されそうになるケースもありますね」

 だが、こうした行為に、弱い立場の人間が声をあげるのは非常に難しいという。

「ベテランの大御所声優や作品のキャスティング権を持つ人間は、絶対的な発言力や影響力を持っており、彼らの行きすぎた行為を拒んだり問題視できる雰囲気はありません。結果、さまざまなハラスメントが飛び交う一昔前の日本社会の問題点をそのまま引きずっているのです。

 そもそも狭い業界なので、“悪い噂話” はすぐに広まりますが、コンプライアンスを重視し、声優本人やスタッフを守れるような体制作りが不十分なんですよ。業界全体としてこういった閉鎖的な環境を改善し、価値観をアップデートすることが必要ではないでしょうか」(井ノ口氏)

 夢のある業界であってほしいが……。