■「7つのゼロ」実現したのは1つだけ

 8年前、小池氏は「7つのゼロ」という公約を掲げた。①都道電柱ゼロ、②ペット殺処分ゼロ、③待機児童ゼロ、④満員ゼロ、⑤残業ゼロ、⑥多摩格差ゼロ、⑦介護離職ゼロ、である。

 だが、公約の中で実現したのは、②のみである。

 これでは小池氏も恥ずかしくて、自らの政策の検証すらできないだろう。学歴詐称疑惑と同じで、小池氏は有権者が忘れるのを待っているのではないか。

■小池氏の「高校無償化」は選挙を意識したバラマキ

 東京都は大金持ちの都市である。大企業の本社が数多く東京に集まり、法人住民税、法人事業税の収入が巨額にのぼるからだ。東京都は、国から地方交付税交付金を支給されていない唯一の自治体である。

 この豊かな財政を利用して、ばらまき政策を実行し、人気取りに使ったのが小池氏である。

 小池氏は、都内に住む18歳以下の子どもに対して、親の所得に関係なく、月額5000円(年額6万円)を支給する制度を2024年1月から実行に移した。

 また、「世帯年収が910万円未満」を対象としている私立高校の授業料支援制度について、2024年度から所得制限を撤廃した(公立高校については、国の支援金制度で、すでに所得制限が無くなっている)。

 さらには、私立中学校の授業料を年10万円まで助成する支援制度についても、2024年度から所得制限を撤廃している。

 豊かな財政が、小池氏のパフォーマンス政治、ばらまき政策、ポピュリズムを助長している。ばらまき政治には弊害があるが、都知事選を念頭に置いた選挙戦術に使われていると見ていいだろう。