JRAは11日、騎手として重大な非行があったとして騎乗停止となり、引退届を提出した藤田菜七子騎手(27=美浦・根本)を巡る一連の報道と処分について説明。
騎手免許の取消申請を受理したと発表した。

JRAは「藤田菜七子 騎手の引退」と題するお知らせを公表。
「藤田菜七子騎手(美浦・根本康広厩舎)から騎手免許の取消申請があり 2024年10月11日(金)付けで騎手免許を取消しましたのでお知らせします」と報告した。

藤田を巡っては、10日発売の週刊文春が藤田の通信機器不正使用を報道。
JRAはその後本人と連絡を取り、昨年4月ごろまで複数回にわたり、調整ルーム居室内に通信機器(スマートフォン)を持ち込み、使用していたことが判明したと発表した。
通話ではなく、通信アプリを使用して外部の人間と連絡を取っていた。

騎手として重大な非行があったものと認められ、日本中央競馬会施行規程第148条第2項により裁定委員会に送付するとともに、
同条第4項により24年10月11日から裁定委員会の議定があるまで同騎手の騎乗は停止となる。

5月に水沼元輝、今月には永野猛蔵、小林勝太が同様の違反で騎乗停止となっているが、過去の違反をさかのぼっての処分は初。
本人は「(違反をした日)以降は開催日に調整ルーム居室内に携帯は持ち込んでいない」と話しており、裁定委員会が騎乗停止期間をどう定めるかに注目が集まっていた。

師匠の根本康広師は10日、トレセン内の根本厩舎で藤田が引退届を書いたと告白。
師の万年筆で引退届を書き終えると、藤田は師匠の胸で慟哭(どうこく)した。師も声を上げて泣き、別れたという。

根本師は11日、美浦トレセンで報道陣に対応し、「(昨年5月の)若手騎手6人のスマホの件の時、菜七子は以前に、そういう通信機器を使っていたことをJRAに自ら報告をしている。
そして、その際に口頭で厳重注意を受けている。それが週刊誌の報道で、また処分を受ける形となってしまった。本人も納得がいかない部分があると思う」と説明した。

◇藤田 菜七子(ふじた・ななこ)1997(平9)年8月9日生まれ、茨城県出身の27歳。競馬とは関係ない家庭に育つ。
16年3月、美浦・根本康広厩舎からデビュー。同年4月10日の福島9R(サニーデイズ)で初勝利。19年、G3カペラS(コパノキッキング)を制しJRA重賞初勝利、
同時にJRA女性騎手によるJRA平地重賞初勝利をマーク。JRA通算3897戦166勝(重賞1勝)。1メートル57、45キロ。血液型A。