刺客列傳-外傳-山上徹也傳
山上徹也,東瀛奈良縣人,外祖從商,父隨之,少時得富貴。五歲,父亡,隨母居奈良。母為淫祀惑,錢糧地契皆捐,家徒四壁,無資以學,兄疾亦無以治。徹也從行伍,以乞活。既卸甲,兄不堪病擾,自縊而盡。徹也泣曰:「兄自去,弟當何如?」

安倍晉三者,四度拜相,貴胄之後,然其縱淫祀行攬金之實,惑信眾得連任之資,徹也惡之,書友人曰:「吾當誅此賊!」遂購火藥、鐵管、鐵砂、制得雷與銃,又恐傷及無辜,捨雷而取銃。

時晉三巡於奈良,宣淫祀惑人之詞,聽著甚眾。徹也隨其後,衛士數十無一疑之。待得良機,銃出而發,不中。眾人皆惑,晉三亦顧之。煙未盡,又發一銃,霎時,聲出如雷,煙現如龍,晉三即伏。眾侍驚覺,圍而擒之,徹也面不改色,釋銃就執。後晉三送醫,不治。

時人曰:山上徹也,勇不及聶政,智不如專諸,所出不為國仇,但為家恨,惟其為民除害,替天行道者,義也。



刺客列伝-外伝-山上徹也伝
山上徹也は東瀛奈良県の人にして、外祖は商に従き父はこれに随して少時は富貴を得たる。
五歳にして父亡く、母に随して奈良に居す。
母、淫祀のため惑い銭糧地契を捐ね、家は徒らに四壁となり、もって学ぶに資無く、兄の疾いもまた治ること無し。
徹也は行伍に従き、もって乞活す。すでに卸甲するも、兄、病擾に堪えずして自縊し尽きる。徹也泣きて曰わく「兄は自去せり、弟は何如にすべし?」と。

安倍晋三は四度相を拝す貴胄の後なり、然して淫祀の行いをその縱ままとして攬金の実とし、信衆を惑わして連任の資を得る。
徹也これを悪み書によりて友人に曰わく「吾れまさにこの賊を誅すべし!」と。
ついに火薬・鉄管・鉄砂を購い雷と銃とを制得するも、また無辜に傷を及ぼすを恐れて雷を捨てしかるに銃を取る。

時に晋三、奈良を巡りて淫祀の人を惑わす詞を宣くに聴く者は甚だ衆し。徹也、その後に随するも衛士の数十にして一もこれを疑う無し。
良機を得んとして待ち銃を出し発するも中らず。衆人皆惑い晋三もまたこれを顧みる。
煙未だ尽きずまた一銃を発す、霎時、声、雷の如く出で、煙、龍の如く現れ、晋三即ち伏おる。
衆侍、驚覚して圍みこれを擒らうも、徹也の面、色改めずして銃を釈き執らわるに就く。後、晋三は医に送らるるも治らず。

時の人曰わく「山上徹也は、勇は聶政に及ばず智は專諸に如かず、国の仇のために為さざるところにしてただ家の恨みのために為すものなれど、これ民の害を除きたるは天に替わり道を行う者として義なるかな」と。