ちょうどいい機会だし死ぬ前に誰かに話しておきたいから聞いてくれ
大学生の頃夏に長野の奥地に旅行に行ったのよ
野沢温泉だったか
旅館にチェックインして夕方暗くなる少し前に周辺に散策に出た
集落は結構な坂になってて上から下まで水路が流れててね
その水路が各家の池や防火水槽みたいなのにつながってた。
水が綺麗で各家鯉とか金魚とか飼ってて面白くて
その水路を辿ってたら最後に池に繋がってた
その池の側に神社があったからせっかくなので上までお参りしていくかと階段登ってみた

特に何のこともない小さな神社で
拝殿脇の案内看板によると
「おろちの社」
昔村人を苦しめていた大蛇がいて
そこの神様が退治したとか何とか書かれてた

もうかなり暗くなって来てたし帰ろうと思って階段を降りようとした時俺の後ろ、拝殿の後ろ本殿の脇あたりでドサァって大きな音がした。
流石に夕方人気のない神社でこのデカい音には俺もビビって硬直した

しかもその音の原因は生き物らしくてゆっくりと近づいてくる玉砂利を踏む音がしてる
もうその時点で絶対野生動物じゃないやん
完全に固まってたけど必死で振り向いたら
夕闇の向こう拝殿の脇の影に白い着物の女がしめ縄?紙垂のついた太い縄を持って立ってやがった

それ見て俺生まれて初めて腰抜かしてその場に座り込んじまった。