電通グループが14日発表した2024年12月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が1921億円の赤字(前の期は107億円の赤字)だった。欧米など海外事業で2101億円ののれんの減損損失を計上し、同社では過去最大の赤字となる。海外の競合企業と比べて最新技術への投資が遅れ、欧米で苦戦した。25年12月期に海外事業で500億円の構造改革費用を計上し業績を立て直す。

24年12月期の営業損益は1249億円の赤字(前の期は453億円の黒字)だった。のれん減損の内訳は欧州・中東・アフリカが1530億円、米州が571億円だ。

米国や英国、ドイツなどでは景況感悪化を背景に企業の投資が減速し、データ分析などマーケティングを支援する事業が落ち込む。アジア・太平洋地域ではオーストラリアの内需低迷で広告需要が減少している。

電通グループは13年、英イージスグループを約4000億円で買収するなど、海外でM&A(合併・買収)を進めた。のれんは23年12月期末時点で8311億円に膨らんでいた。

巨額ののれん減損の要因には、M&Aで事業拡大を急ぐあまり、競争力の低い事業を抱えてしまったこともある。のれんの減損テストでは直近の市場金利を踏まえ従来よりも高い割引率を適用した。電通グループは23年12月期もアジア・太平洋地域で減損損失を計上した。

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