昨年11月に始まった2024海苔年度の共販(入札)枚数は年産40億枚台水準で推移しており、3年連続で50億枚を下回る可能性がある。
一昨年の2022海苔年度は、栄養塩不足をもたらす“最凶”の植物プランクトン「ユーカンピア」による赤潮が発生。海苔の色落ちをもたらし、漁期を通じて漁獲量に悪影響を与えた。
翌2023海苔年度も漁期が進むにつれて、降水量減少による栄養塩の低下が見られた。
現在の海苔養殖では、種付けした網を一部冷凍庫で保管し(=冷凍網)、それ以外を「秋芽網」としてまず海に張り出す。
今年度は、秋芽網を投入した11~12月時点で海水温が平年より3℃近くも高かった。どれだけ異常事態なのかは、入浴時の適温をイメージすると実感しやすいだろう。現時点でも1~2℃高く、地球温暖化の影響が顕著に表れている。
加えて、まとまった降雨がないため海に栄養が補給されず、急激な栄養塩の低下が見られる。佐賀では12月の降水量が平年比2割にとどまった地区もあるほどだ。
昨年度、福岡・佐賀では栄養塩の回復を期待して秋芽網の撤去後に冷凍網の張り出しを遅らせたが、残念ながら減産につながった。今年度も佐賀・福岡では冷凍網の張り込みを延期する事態に陥っているうえ、熊本でも一部で延期を決めた。いかに海況が悪いかが分かる。
乾海苔共販の平均落札価格は23年度の23.95円から30.41円(1月26日時点)に上昇している。主な要因は二つ。一つ目は、2年連続の不作により漁期開始時点で海苔商社らのキャリーオーバー(繰越在庫)が底をついていたこと。二つ目は、商品化しやすい品質の海苔が少ないこと。平年作なら無札で終わった海苔も落札されており、商品化しやすい質に限れば平均単価はさらに高くなる。
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