高橋名人によると「ゲームは1日1時間」は口から出まかせだったとのこと
【高橋名人インタビュー:後編】「ゲームは1日1時間」の提唱者にあらためて聞く「テレビゲームは誰のもの?」
https://esports-world.jp/interview/4683 https://esports-world.jp/images/upload/2020/03/0be606df511bff8de1ecfcc85c74250b.png ——そういえば、先日香川県で「ゲームは1日1時間まで」「午後10時以降はゲーム禁止」などといった、「ネット・ゲーム規制条例案」が可決されました。「ゲームは1日1時間」といえば高橋名人の名言でもありますが、実際のところこの言葉にはどのような意味があったのですか?
高橋名人:実を言うと「ゲームは1日1時間」は口からでまかせで、その時パッと思いついたことを言っただけなんだよね。
——ええっ、そうだったんですか!
高橋名人:単純に語呂がいいから言ったというのもありますが、実はこれ親御さんを納得させるためにとっさに出た言葉なんです(笑)。
とにかく当時はかつてのインベーダーゲームブームの影響からか、テレビゲーム=不良というイメージがなかなか消えなかった。
もちろん、ファミコンにもその影響はあってファミコンに対して嫌悪感を持っている親御さんも少なくなかったんです。そういった悪いイメージを払拭するためには、親御さんも納得した上で子どもたちにゲームをやってもらいたいという気持ちから「ゲームは1日1時間」という言葉が生まれました。
——確かに我が家でも1日1時間ならOKというルールでやってましたもん!
高橋名人:子どもたちに「テレビゲームはやるな」って言って守らせるのは多分無理なんですよ。だって面白いんだから(笑)。
その代わりとして、子どもたちにケジメを持ってゲームをやってもらいたいという気持ちを伝えたかったんです。
ただ、素直に守ってくれない子どもたちもいましたよ。
——あはは(笑)。
高橋名人:そこで僕はこういうんです。
「遊びってファミコンだけかー? それだけじゃあ、つまらない大人になるぞ」ってね(笑)。
小学生のうちには体験してもらいたいことがたくさんあります。勉強もスポーツもそうです。テレビゲームだけをやって育ってしまうのはとってももったいないことなんですよ。
——その1日1時間の目安っていうのはあったんですか?
高橋名人:まあ、これは後付け理論になっちゃうんですけど、学校の授業って45分とか50分とか、休み時間入れて大体1時間サイクルじゃないですか?
つまり人間が集中できる時間って1時間くらいなんですよね。
そこで、「ゲームをやるなら長い時間やるんじゃなくて、1時間集中してがっつりやった方がうまくなるぞ」って子どもたちには伝えましたね。
——確かに、それなら説得力がありますね。
高橋名人:僕は「ゲームは遊ぶためだけのものではない」という認識もあります。
それこそ反射神経も身につけられるし、『桃太郎電鉄』みたいに地名も覚えられるものもある。そういった意味では勉強もできるツールなんじゃないかなと思っています。
なので禁止と頭ごなしに制限するよりは、子どもたちにも納得できるように制限できればいいのではないかとも思いますね。
やっぱり子どもたちには、もっとゲームを楽しんでもらいたいですしね。