
【ニューヨーク=小林泰裕】米連邦通信委員会(FCC)は28日、少数派に配慮する「DEI(多様性、公平性、包括性)」の取り組みを巡り、米娯楽大手ウォルト・ディズニーと傘下の米放送局ABCを調査すると発表した。DEIの推進により、雇用面に「悪質な差別」が発生している可能性があると指摘している。
FCCは通信・放送業界の規制などを担う機関で、規制対象の事業者に対し、人種や宗教、性別などによる雇用面での差別を禁じている。28日の発表では、ディズニーの経営陣がDEIを積極的に推進し、脚本家や監督、撮影スタッフなどを少数派のグループから選んでいた可能性があると指摘した。
FCCのブレンダン・カー委員長は、「ディズニーとABCがFCCの規制に準拠しない形で、悪質なDEI差別を推進している」との懸念を表明。ディズニーは読売新聞の取材に「FCCからの問い合わせに誠実に対応していく」と回答した。
トランプ米大統領は、人種的少数派への配慮に不満を持つ支持者を意識し、バイデン前政権が推進したDEI政策を批判している。トランプ氏に起用されたカー氏は、米ブルームバーグ通信が21日報じたインタビューで、DEIの取り組みを進める企業による合併や買収を承認しない可能性に言及した。
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250329-OYT1T50041/