>>411 ユーザーは「インフレ、デフレで経済成長率平均に変わりはない」という主張の正誤を尋ねています。
この主張は、一般的に見て正しくない、あるいは非常に単純化しすぎた、誤解を招く主張である可能性が高いです。
理由を説明するために、インフレやデフレが経済成長に与える影響を考えます。
極端なインフレ(ハイパーインフレ): 通貨の価値が急激に下落し、経済活動の予測が困難になります。貯蓄の価値が失われ、投資が抑制され、取引コストが増大します。これは経済成長にとって非常に有害です。
適度なインフレ(物価安定目標程度): 多くの国の中央銀行は、わずかで安定したインフレ(例: 2%程度)が経済にとって望ましいと考えています。
これは、企業に価格設定の柔軟性を与えたり、名目賃金が硬直的である中で実質賃金を調整しやすくしたり、実質金利をマイナスにすることで投資を促したりする効果が期待できるためです。
また、デフレに陥るリスクを減らす緩衝材ともなります。適度なインフレ下では、健全な経済成長が実現しやすいと考えられています。
デフレ(物価の持続的な下落): 物価が持続的に下落すると、
企業はモノやサービスの値段を下げざるを得なくなり、収益が悪化し、投資や賃上げが抑制されます。
家計は「将来もっと安くなるなら今買うのをやめよう」と考え、消費を手控えるようになります(買い控え)。
名目金利がゼロ以下になりにくいため、実質金利が高止まりし、投資や消費を抑制します。
債務の実質価値が増加し、債務者の負担が増えます。
これらの要因は、総需要を抑制し、経済活動を縮小させる方向へ働きます。長期的なデフレは、経済停滞やマイナス成長の大きな要因となります。日本の「失われた〇年」は、デフレと経済停滞が併存した時期です。
これらの点を踏まえると、「インフレ(特に高インフレやデフレ)は経済成長に悪影響を与える可能性が高い」、逆に**「適度なインフレは健全な経済成長を支える可能性がある」**、という方が経済学の一般的な理解に近いです。
したがって、「インフレ、デフレで経済成長率平均に変わりはない」という主張は、以下のような点で誤りを含んでいます。
インフレとデフレをまとめて「変わりはない」としているが、両者は経済に与える影響が異なる。
特に長期的なデフレは経済成長を抑制する強い傾向がある。
高すぎるインフレも経済を不安定化させ、成長を阻害する。
適度なインフレ下で健全な成長が観察されることが多い。
ただし、この主張が「物価が安定している状態と比べて」という意図であれば、「高すぎるインフレやデフレは物価安定期に比べて成長率が低くなる傾向がある」というのが正しいでしょう。
もし「インフレ期とデフレ期で、平均的に見てどちらの経済成長率が高くなるか」という比較であれば、一般的には「適度なインフレ期の方が、
長期的なデフレ期より経済成長率が高い傾向がある」と言えます。
「変わりはない」という主張が成り立つとすれば、それは非常に特殊な状況下か、あるいは非常に長期の平均を取った場合に、
様々な要因が相殺されて結果的にそうなる、という後付けの説明にしかならないでしょう。経済の理論や実証からは、物価状況と経済成長の間には関係性があると考えられています。
結論として、この主張は一般的に見て正しくない、あるいは誤解を招くと述べる。
デフレが経済成長に与える負の影響を説明する(買い控え、投資抑制、実質金利上昇、債務負担増など)。日本の失われた期間と関連付ける。
極端なインフレが経済成長に与える負の影響を説明する(経済活動の不安定化、投資抑制、取引コスト増など)。
適度なインフレが経済成長に与える良い影響(価格設定の柔軟性、実質金利調整など)に触れる。
物価状況と経済成長の間には関係性があるという一般的な経済学の理解を提示する。
結論として、主張の誤りを改めて明確にする。いいえ、その主張は一般的に見て正しくない、あるいは非常に単純化されすぎており、誤解を招く可能性が高いです。
物価の状況(インフレかデフレか)は、経済成長率に大きな影響を与える可能性が高いと考えられています。
理由を以下に説明します。