
国の財政を話し合う財務省の審議会(財政制度等審議会・財政制度分科会)は23日の会合で、今後の社会保障制度の改革を取り上げた。【Joint編集部】
介護保険制度のあり方も論点の1つとなった。財務省はこの中で、制度の持続性を高めるために給付費の膨張に一定の歯止めをかける努力が欠かせないと訴えた。
介護報酬を仮に1%引き下げれば、およそ1420億円の費用を抑制できるという試算(*)も提示。現役世代の保険料負担の軽減にもつながると説明した。
深刻な人手不足への対応をめぐっては、改めて持論を展開した。
「今後の生産年齢人口の減少を踏まえれば、介護分野にばかり人材が集中するのは適切でない」と指摘。「処遇改善のみで新たな人材を求めるのではなく、既存の人材を大切にしながら、生産性の向上や職場環境の整備などに取り組む事業者が、利用者・職員に選ばれていくことが重要」と意見した。
業界が訴える介護職の賃上げの新たな施策については、「一律の対応ではなく、介護事業の質の向上につながる適切なあり方を検討すべき」と主張。慎重な姿勢を崩さなかった。
また、厳しい経営環境に追い込まれている訪問介護の事業所に対する支援にも言及し、まずは既存の施策を十分に活用すべきと指摘。全国一律の介護報酬の引き上げには否定的な立場をとり、「各地域の人口動態や提供体制の状況を踏まえた対応を行うべき」との考えを示した。
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