
また起きた水道事故 京都の冠水、破損した老朽水道管は11月までに交換予定だった
水道インフラの劣化が原因とみられる事故がまた起きた。京都市の国道1号交差点で30日に起きた大規模な冠水。原因となった上水道管は敷設から65年以上が経過し、腐食などの老朽化が進んでいた可能性が高い。埼玉県八潮市の道路陥没は下水道管の腐食が原因とみられるが、上水道管の方が老朽化がより進んでいるとのデータもある。
全国の上水道管路の総延長は約74万キロに及び、漏水事故は毎年2万件前後発生。上・下水道管問わず管の老朽化は深刻で、対応は急務といえる。
冠水は30日午前3時半ごろに発生。8車線が通る国道1号の交差点一帯が水浸しとなり、交通規制による渋滞なども発生。大型連休でにぎわう古都が騒然となった。
京都市上下水道局の説明によると、破損した上水道管は昭和34年に深さ約1・5メートルの場所に敷設された直径30センチの鋳鉄管。同局が確認したところ、縦横それぞれ30センチ以上の大きさの穴が見つかった。
上水道管は地中の浅い部分にあり管は比較的細い。一方の下水道管は地中深い部分にあり管は太く、事故が起きた際に大きな被害が出やすい。上水道管は流れる水の圧力が高く漏水などが判明しやすいことと、埼玉の事故が下水道管だったこともあり、京都市では上水道管が埼玉の事故を受けた緊急点検の対象になっていなかった。
上下水道管とも事故は老朽化が要因であることが多い。国土交通省によると、法定耐用年数の40年を超えた上水道管の割合を示す経年化率は令和4年度で23・6%。全国の上水道管の総延長約74万キロのうち、約17・6万キロが法定耐用年数を超える老朽管となっている。高度経済成長期の昭和30年代から40年代に水道敷設が進んだため、経年化率は増加の一途をたどっている。
一方で上水道管の更新は追い付いておらず、対応は後手に回っている。総延長に対し1年間に更新された距離を示す管路更新率は低下しており、4年度末で0・64%。法定耐用年数を超えた上水道管を今後20年で更新するには更新率を1・18%にする必要があり、現状の倍近い更新スピードが求められている。
総延長約49万キロの下水道管は、4年度で標準耐用年数50年を超える経年化率は6・5%と上水道管よりも低い。ただ管路更新率も0・15%と低く、今後25年間で更新するには0・24%まで向上させる必要がある。
水道事業は各自治体単位で行われ、工事費用などは水道収入などからまかなわれることが基本だ。だが、人口減少による収入減に加え、資材費の高騰も重なり、更新の迅速化は難しい。財政状況が厳しかったり、人口規模が小さかったりする自治体ほど影響を受けやすい状況だ。
国交省は経営状況が苦しい自治体向けに財政的支援を整える。担当者は「各自治体に対して設備の点検や調査に基づき、計画的な更新を求めていく」と話す。
京都市の場合、法定耐用年数を超える老朽管の割合は約39%と全国平均を上回っていた。京都市は更新作業を巡り、実用耐用年数を60年程度として順次入れ替えを実施。現時点で、昭和52年までに敷設した約260キロを対象に順次作業を進めていた。
今回の冠水が発生した現場は、対象の中でもかなり年代が古い部類の上水道管だったが、長さは数メートルしかなかった。更新には周囲にある別の上水道管と合わせて作業する必要があり、通行止めといった効率性の問題なども踏まえ、今年11月までに更新する予定だった。(杉侑里香、堀口明里、藤谷茂樹)
以下ソース
https://www.sankei.com/article/20250430-QIKXL3AHVBK2VDGRWPGLU5KRGE/
https://i.imgur.com/OLoESe9.jpg
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