Colaboに220万、のりこえに110万の敗訴、都知事選での惨敗──そのあたりの時期から、ここ1年ほどの暇空の発信は空想じみた方向に加速していった。

「自分はカルト宗教に集団で監視され、嫌がらせを受けている」というストーリーを毎日のように語りながら、仲間を次々に疑い出す。「お前は本当はスパイじゃないか」「死んで偽物に入れ替わってるんじゃないか」「最初から裏切って俺を攻撃してたんだろ」などと言い出し、フォロワーの多いネームド級の仲間をまとめてスパイ認定、大量にパージしはじめた。

弁明する者、ショックで引退する者、反発する者――対応は分かれたが、暇空の疑いを晴らすことはできず、暇空はより自分の確信を深めていった。かつての仲間たちは十二支の名を持つカルト集団の幹部“十二神将”であるとされ、「最初から暇空を陥れるために動いていた、あるいは敵に途中で成り代わられたスパイだった」ということになった。
(今回話題のアルパカ社長の名前は、十二支の“未”を表すコードネームとされた。)

空想はさらにエスカレートし、「カルト集団は堀口を殺して生存を偽装している」「もう二桁は殺されている」など、敵の設定を膨らませ続け、自分を裏切った仲間への攻撃も同時に強めていく。(感極まった声で"地獄に落ちろ"等と叫ぶことも)

一方で、以前は自身の攻撃対象だった堀口には次第に同情を見せるようになり、「堀口もまた自分と同じカルトに嫌がらせをされていた犠牲者」「堀口は同じ立場である暇空に助けを求めていた」という空想にふけるようになっていった。

今や、元暇アノンら“十二神将”、大幹部“神谷”、そして“女神様”は、暇空の脳内では、二桁以上殺しているセックスカルト教団のメンバーで、堀口に対して集団で嫌がらせを行い、痴情のもつれで殺害した上、偽装工作のためにメディアやテレビ、政党などにも圧力をかけ誤魔化そうとしている、死者を冒涜する極悪人であるとされ、暇空はこのような内容を登録者二十万人のライブで連日発信している。
 
こうして暇空は元仲間達から深い恨みを買うようになっていった。