セクハラというと、中高年のベテラン社員が起こすイメージが根強い。
だが、今や管理職や役員クラスのビジネスパーソンはハラスメントについて繰り返し研修を受けており、コンプライアンスに敏感になっている。
一方で、若手社員はそうした研修を受ける機会がベテラン社員に比べれば少ない。

10年、20年と社歴を積み重ねれば自社の良きも悪しきも理解し、冷静に会社と自分の線引きをひけるようになるが、若手社員は会社に対して熱中している状態にある。
就活で苦労の上、入社できた会社とあればなおさらだろう。学生を選ぶ立場に立った時、選ばれる側の学生を自分の意のままにできる、という勘違いや公私混同をしてしまっても不思議ではない。

 問題を起こしてしまう社員は、上記に加え、何らかの劣等コンプレックスとゆがんだ自己認知を持っていると思われる。多くの会社では、3年目くらいになると仕事の評価も同期と差がつき始める。
また早々に頭角を現す後輩も現れ、社内でのこれまでの自分の立場が揺らぐ瞬間を経験することも多くなる。そのような社内で抱えた劣等コンプレックスを発散するため、
さらに立場が下の就活生にマウンティングしてしまうのだ。

加えて、先ほどの「会社の価値=自分の価値」という誤認識で学生と接した時に、特に異性の学生から採用イベントなどで羨望の目を向けられると、それを自分への羨望と勘違いしてしまい、
自分にほれているのではないかとゆがんだ解釈をしてしまう。就活セクハラの問題で加害者側が「女子学生の方から誘ってきた」「相手が自分に好意があると思っていた」などと供述する背景には、
こうしたゆがんだ自己認知があるのだろう。年齢的には十分恋愛対象になりえる歳の近さだからこそ、立場をわきまえずに公私混同をしてしまうのだ。

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00256/111800007/