相次ぐ値上げで、家計負担は「’19年10月の消費増税レベル」と専門家
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連日のように発表される、食品の値上げ。専門家は、家計にダメージを与えるこの傾向はしばらく続くと予測する。年末年始を控えた時期の相次ぐ値上がりの背景には、いったい何があるというのか−−。

「食品価格の上昇はここ10年間でジワジワと続いていますが、この10月以降の値上げの傾向は、それが特に顕著に見られます」

こう語るのは、第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミスト・永濱利廣さん。10〜11月にかけて、メーカー各社による食品、商品の値上げ発表が相次いでいる。

すでに外食産業の「びっくりドンキー」や「吉野家」などが10月末から値上げを実施。「桃屋」や「日清オイリオグループ」などは、11月1日より商品の値段を上げた。さらにこれから年末年始にかけて、複数の食品メーカーによる“値上げラッシュ”が家計を直撃する。なぜ、ここまで食品の値上がりが続くのか。

「原油と穀物価格の高騰が主な原因です。原油高は企業の工場の燃料費や包装材料費、そして物流コストを押し上げます。さらに原油が上がるとバイオ燃料の需要も増えます。その原料が穀物なのです。また、コロナ禍による航空機や船で輸送する便数の減少。食品、食肉加工現場でも、人手不足による生産性の減少といった、複合的な要因も重なり、食品値上げが起きています」(永濱さん・以下同)

また、メーカー各社が、この時期の値上げに踏み切ったのにも理由があるという。

「企業側は、消費が少ないときに値上げをすると、より売れなくなってしまいます。消費需要が増えるこれからの時期は上げやすかったのでしょう」

来年1月から食パン、パスタ、ポテトチップスまでも値上げ
来年1月から値上げされる食品の中には、毎日の食卓に並ぶ食パンやパスタ、そして人気のお菓子ポテトチップスまでもが……。

「輸入小麦の『政府売渡価格』の改定が4月と10月に行われます。10月に輸入小麦の1トン当たりの価格が19%も上がったことが、小麦粉やパンなどがいっせいに値上がりした大きな要因でしょう」

ポテトチップスは、今夏、北海道は猛暑で雨が少なく、じゃがいもや玉ねぎの収穫量が減少。原料となるじゃがいもの価格が高騰していることも要因であるそうだ。

「値上がりは、原油高や穀物価格の高騰だけでなく、世界中の干ばつや気候変動、国内の天候不順による作物の不作などの影響もあるのです」

その北海道で、今度は赤潮が発生。ウニやイクラが大打撃を受けて、いま価格が高騰している。そして海外の食材も、世界的な物価上昇に伴い、輸入牛肉やカニの価格などが上昇している状況だ。

第一生命経済研究所が、食品をはじめ電気、ガス、ガソリンといったエネルギーなども含めた、平均的な家庭の年間負担額を試算している。そこで’20年と’21年を比較すると、今年は約5万円の負担増になるそうだ。

さらに来年は、’20年と比べて、約7万円程度の負担増になるとも。

「’19年に消費税が8%から10%に上がりました。軽減税率が導入されましたが、この年の民間への負担増は4.6兆円。本年度は4.8兆円の民間への負担増が予想されているので、値上げが家計に及ぼす影響は、’19年10月に消費税率が引き上げられたときと同程度の負担増とも言えます」


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