長野県松本市のペット繁殖場「アニマル桃太郎」の中で劣悪な環境で犬など約1000頭を飼育していたとして、長野県警が11月に社長の百瀬耕二容疑者(60)と社員の有賀健児容疑者(48)を動物愛護法違反(虐待)の疑いで逮捕した事件。


A子 私が入った約10年前は400頭ほどいて、世話は従業員5人でずっと回していました。最近では1000頭ぐらいでしょうか。この3年ぐらいで一気に数が増えましたね。コロナが流行したことでペットブームが起こり、飼う人が一気に増えたので「売れるからどんどん産ませろ」と百瀬がはっぱをかけていました。とてもこれ以上手が回らないと思いましたが、百瀬は従業員の訴えを聞くような性格ではないので止められませんでした。

 掃除が行き届かず、川の水を与えていたので、ゴミのペットボトルで作った給水器には藻が繁殖していました。山中にある犬舎の屋根は、ブルーシートを天井に被せただけの簡素な造りで、雨漏りがすればもう1枚上からブルーシートを被せるだけというひどい状態でした。夏は大型の扇風機を置いていましたが、生ぬるい空気が右から左に移動するだけ。冬はだるまストーブを置いていましたが、数は不十分。温度管理すらできておらず、飼育環境は最悪でした。

 1000頭いても餌をあげられるのは1日500頭が限界です。だから1度に2日分の餌を置いておくんです。ただ、3〜5頭を一緒に入れていたゲージもあったので、力が強く他の犬を押しのけてでも食べる犬もいれば、そうじゃない犬もいる。弱い子は食べられず衰弱していきました。

死んだ犬は弁当のゴミと一緒にゴミ袋に入れられて…
――衰弱した犬はどうなったのでしょうか。

A子 死にましたよ。でも、百瀬は気にもとめない様子でした。出勤した時にケージに死体があって、「この犬いつ死んだの?」と聞いても「わからない」と。死後、気づかれず数日放置されたような犬もいました。犬舎のなかが臭すぎるので、死臭もわからないんです。

 死んだ犬は糞尿が垂れ流されたケージの下に敷いている新聞紙や、事務所のゴミ箱のゴミ、食べ終わった弁当のゴミと一緒にゴミ袋に入れられていました。さすがにそのまま死体をゴミ袋に入れるのは抵抗があるのか、新聞紙には包んでいました。車にゴミを入れて運びだす時に異臭がしたという近隣住民の話もありましたが、死臭もあったと思います。https://news.yahoo.co.jp/articles/e2e4278c492a9951054990cb81d5a8d59584ef83?page=3