ソニーセミコンダクタソリューションズは16日、カメラ機能に使う画像センサーで新たな積層加工技術を開発したと発表した。通常は同一の基板に載せるフォトダイオード(受光素子)とトランジスタを、別の層に分離することに成功した。蓄積できる電気信号量が2倍に増えるなど、明暗が激しい場面でも白飛びや黒潰れが起きにくくなる。多画素と高画質を両立しやすい技術として、スマホ向けで製品化をめざす。

CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサーは微細な画素ごとに光を取り込む。光を電気信号に変える受光素子があるシリコン基板には、電気信号を制御して演算回路に伝えるトランジスタも載せている。両方が同じ基板にあるとスペースが限られる上、干渉し合って能力を最大限発揮できなかった。

ソニーセミコンダクタはトランジスタ単独の層を作り、高熱で積層加工できる技術を確立した。スペースが広がることで、受光素子とトランジスタでそれぞれ最適な構造設計が可能になり、撮影できる明るさの範囲(ダイナミックレンジ)の拡大やノイズの低減につながる。

新たな技術について、同社は「受光素子とトランジスタで、最適化に向けた技術開発の余地が広がる。多画素化により1つの画素サイズが小さくなっても、画質を追求しやすくなる」としている。今後量産化に向けた開発を進め、まずは高価格帯のスマホ向けの画像センサーとして製品化をめざす。
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