135歳の長寿貝、一生を終える 過去の津波耐えたが東日本大震災で
神田明美2021年12月22日 11時00分

 岩手県の船越湾で、135歳もの長生きを重ねた上で、東日本大震災の津波で死んだとみられる二枚貝が見つかった。過去にも津波を乗り越えて生き延びてきたが、ついに一生を終えたという。

 この貝は長寿で知られるビノスガイ。日本の東北以北やロシアに生息する。6月から翌年の1月まで成長し、2月から5月は成長が止まるため、年輪が刻まれる。これまで年齢が記録されたもので世界の最長寿は、北海道で採取された99歳だった。

 神戸大学や東京大学、名古屋大学などのチームは、ビノスガイの貝殻の年輪を解析して過去の海洋環境の変動を調べている。死んでいた貝の貝殻27個体分のうち、9個体は、最後の年輪が2010年だった。11年3月11日の巨大津波で死んだ可能性が高いと結論づけた。最も長生きしていたのは、135歳のビノスガイだった。

 この貝は、過去にも巨大津波を経験。20歳の時には死者約2万2千人を出した明治三陸地震、57歳の時には3千人あまりの死者・行方不明者が出た昭和三陸沖地震が起きている。研究チームの窪田薫・神戸大学助教は「東日本大震災で船越湾には25メートルの津波が襲来しており、長寿の貝が死ぬほど大きな生息環境の乱れがあったと考えられる」と話す。



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