「老人の輸出か!」といわれた移住だが…フィリピンでの年金生活「先駆者」の実に贅沢な暮らし

物価が安く、気候が温暖なフィリピンでセカンドライフを送る年金生活者は少なくない。彼らの間には、知らない者はいないといっても過言ではない、草分け的存在の女性が存在する。
退職者の海外移住が日本で話題となり始め、彼女が移住した当時について、ノンフィクションライターの水谷竹秀氏が解説する。

『マニラ極楽暮らし年金女性のフィリピン生活』(マガジンハウス)は1999年5月に出版され、間もなく多くの年金生活者にとってのバイブルとなった。

表紙には、エメラルドグリーンの海に浮かぶ青い空を、椅子に座って優雅に眺める女性の姿が油絵調で描かれており、海外生活の華々しさをアピールするかのように、真っ赤な花々が女性の隣に添えられている。帯の謳い文句がそれをさらに強調する。

「専属運転手、ホームメイドを2人使って10万円前後で生活出来る“年金者天国”」

フィリピン邦人社会についての取材の一環で、フィリピン暮らしの長い彼女にも話を聞こうと思ってのことだった。甲高い声で話す彼女の声は、今でもかすかに耳に残っている。

「こっちは物価が安いし、メイド、ドライバーは何人もいるし、気候も暖かくて人々も温かい。日本と比べたら最高よ。日本にいたら寒さにふるえて、今頃は死んでいたと思います。私はとにかく冬が苦手でね。体が弱くて風邪をひいてばかりいました。

日本は忙しい国だから、隣近所の付き合いもありません。ここはのんびりできるから、私も長生きできたんでしょう。フィリピンさまさまですね」

https://news.yahoo.co.jp/articles/45338958ddf8ff2558c2609b2564b971b18ee832?page=2