https://news.yahoo.co.jp/articles/72ad876997127051f215de0bd9c5e3d52217645f

「自分たちの立ち位置を正確に認識できた」森薗政崇と振り返る世界卓球2021【卓球ジャパン】

2021年12月18日放送の卓球ジャパン!は、「卓球ジャパン!世界卓球総集編!」と題して、2021世界卓球ヒューストン大会(個人戦)を振り返った。

東京オリンピックを終え、異例の3ヶ月後という短いスパンで行われた今大会。ダブルス種目では女子ダブルスの銀メダルをはじめ、混合ダブルスの銀メダル、男子ダブルスの銅メダルとすべてでメダル獲得を果たした。

だが番組ゲストの世界卓球日本代表・森薗政崇が切り出したのは、シングルスの不振だ。

ベスト8に2人進出した女子はまだしも、男子は最高が戸上隼輔の3回戦(ベスト32)、ほかの4人は2回戦までで敗退した。

とくに張本は、当時世界ランク5位の身ながら、初戦で同65位のディヤスに敗れた。森薗は「長年世界のトップにいることで研究されてしまい、リズムがつかめなかった」と話す

女子シングルスも、エース伊藤が中国トップ選手の中で比較的分のいい王芸迪に対し、ゲームカウント1-4で完敗。伊藤はほかの試合でも精彩を欠いた。森薗は敗因の一端を語る。

「今回の世界卓球、体育館の台はすごくボールが止まって、飛んでこない。しかも今回の体育館の床が硬くてすべるんですよ」

地面をつかまえていいボールを打てず、パワーのある選手が有利だった。さらにボールが柔らかく軽いため、回転はかかるがはじきづらい。そのため伊藤のミート性のボールが走らなかった。

「それで相対的にラリー数が増えて、(伊藤の)パターンじゃなくなっていた」(森薗)

両エースの不振。だが番組MCの平野早矢香は、張本について「反省を前向きに捉え、銀メダルを獲得した混合ダブルスから復調の兆しが見えた」と語る。それが12月のWTTカップファイナルズ決勝進出にもつながったようだ。

帰国後の伊藤も、「自分本来の卓球であるサーブレシーブからの速攻に活路を見いだす」と語り、森薗も今大会をこう総括して前を向いた。

「自分たちの立ち位置を正確に認識できた。僕たちの課題、今後しなきゃいけないことが明確になったので、日本チーム一丸となって、次のパリに向けて全力で強くなれれば」
日本以外の今大会でのトピックスといえば、かつて卓球王国と呼ばれたスウェーデンの復活だ。男子ダブルスではカールソン/ファルクペアが中国ペアを2度下し、同種目で30年ぶりの金メダルを獲得。

さらにシンデレラボーイが、男子シングルス準優勝の19歳・モーレゴードだ。

「まだ磨き切れてはいないけど、すごい(ダイヤの)原石みたい。これは人気出るな」

番組MC武井壮もそう語る逸材は、「日本なら直されそう」との個性的なグリップから繰り出すミート打ちと、独創的なプレーが魅力の選手。

さらに彼の操るラケットは、従来の楕円形のものとは一線を画した八角形ラケットだ。

卓球用具メーカー・スティガの説明によると「スイートスポットが大きく、より安定したボールを打ちやすい。短いボールに対してボールをしっかり捉えられる確率が上がる」。

モーレゴードも開発段階から関わり、「サーブやレシーブがやりやすくなった。台上処理でも細かい微調整がしやすく、いろんなボールに対応しやすい」と語る。

実際に自分のラケットと打ち比べた武井もこう話す。

「スイートスポットが下の方にも広くて重心も下にある気がする。手先の角度をつけてボールをコントロールしやすそう。思ったラインに(ボールが)直線的に出る」

選手からも「はじくボールが打ちやすい」と評判の八角形ラケット。森薗も「重心が手元の方にあるなら、ラケットの扱いやすさの難易度が下がる。手のひらでボールを打てる感覚になるので、台上がやりやすいはず」と解説する。

そして自由自在のプレーと用具で新しい卓球を切り開いた19歳のモーレゴード。

「『もっと卓球のプレースタイルや考え方は自由であっていいんじゃないか?』を世界に知らしめたと思います」(森薗)

ニー・シャー・リエン BSテレ東 卓球ジャパン!

今大会で世界を驚かせたもう1人が、ルクセンブルク代表のニー・シャー・リエンだ。

こちらは19歳のモーレゴードの3倍以上、なんと58歳の選手。元中国代表で、1990年にルクセンブルク国籍を取得。その後東京までオリンピック5大会への出場を果たした