いじめ被害者が今度は加害者に…謝っても許してもらえるわけではない
刑法やいじめ防止対策推進法などを動物のイラスト入りで解説した『こども六法』の著者、山崎聡一郎さんは、
自分も小学校の時、いじめの被害にあったのに、中学校では加害者になってしまいました。


ぼくはいじめをきっかけに私立中学校に進学し、それ以降は晴れていじめを受ける生活から抜け出すことができました。
多少は友だちもでき、部活動にも積極的に励むなど、平和な毎日を送っていました。
ところが、あろうことか、今度はぼくがいじめの加害者になってしまったことがあります。

ぼくは中学校では囲碁部に所属していました。
事件が起こったのは、部長を務めていた3年生のときです。

次期部長と思われていた2年生の後輩とトラブルになり、みんなで解決策を考えるために話し合いの場を設けることにしました。
もちろん、当事者である彼には声をかけていましたし、彼の味方になるであろう後輩たちにも声をかけました。
部員全員での話し合いでなければフェアでないと考えたからです。

しかし当日、約束の時間になっても、彼は話し合いの場に現れませんでした。
本人不在のまま話し合いを進めた結果 、「彼には退部してもらおう」という結論に達しました。

ぼくとしては、本人にちゃんと声をかけていましたし、やましいことがないのなら、出席して自分で説明をするべきだと思っていました。
ですから、退部という結果に対しても「仕方がないな」と考えていました。

ところが、自分がいないところで勝手に退部扱いにされた彼は、黙っていませんでした。
先生に相談し、「いじめがあった」として学校でも大きな問題になりました。

そうなっても、当時のぼくには「いじめた」という自じ 覚かくがまったくありませんでした。
話し合いの場に彼を呼んでいたし、彼をかばってくれる友だちもその場に来ていた。
ぼくが受けていたいじめのように、殴る・蹴 るといった暴力や暴言による攻撃も一切していませんでしたから、
「これくらい、いじめではないだろう」と知らず知らずのうちに思いこんでいたのです。
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