https://www.asahi.com/articles/ASQ217SVMQ21UTIL06S.html

東京消防庁は1日、救急車に載せた除細動器のバッテリーが取り付けられていなかったため、心肺停止状態に陥った男性に電気ショックを施せなかったと発表した。

 男性はその後、搬送先の病院で死亡が確認されたという。同庁は「病院の医師は除細動器を使えたとしても効果が期待できなかったと説明した」としている。

 同庁によると、コロナ禍で救急出動の要請が増えており、男性が搬送された1月31日は管内の救急隊の98%が出動していた。このため、救急隊の経験者らによる非常用の救急隊を編成しており、今回の隊もその一つだったという。

 この隊は31日午前10時35分ごろに通報を受け、丸の内消防署から出動。東京都新宿区の70代男性宅に到着した時には、呼吸と脈があったという。

 搬送中に男性が心肺停止状態に陥ったため、除細動器を使おうとしたが、バッテリーが装着されていなかった。搬送先の病院の医師に引き継ぐまでの約12分間、電気ショックができなかったという。男性はこの日、死亡が確認された。同庁は「事前点検が不十分だった」としている。

 丸の内消防署の斉藤悦弘署長は「二度とこのような事案を発生させないよう、再発防止対策を講じるとともに信頼回復に努めてまいります」とのコメントを出した。