■「全会一致原則を強化したのは日本なんであって、紛糾すれば紛糾するほど、登録が難しくなる」

橋下:韓国側は“朝鮮人が強制労働させられた場所の世界遺産登録なんて認められない”と言ってきたが、日本側は“史料を見れば、強制労働はなかった”と反論している。

今までの日本の外交姿勢は、ぶつかり合うような問題についての主張は抑えておこうということで、慰安婦問題についても、
あまり表立った論争はしてこなかった。僕は“表で論戦”派だからやればいいと思うが、
中国が南京大虐殺の記録、韓国が慰安婦の記録をユネスコの記憶遺産に登録しようとして、南京の記録は記憶遺産になってしまった。

そこで当時の安倍政権が“ちょっと待て、色々な問題があるのに、登録してもらったら困る。
事業が政治利用されている”ということでユネスコ改革をやった。それが他の国が文句を言うような、政治的に揉めているような案件を登録するのはダメだ、というものだ。
つまり、みんなの合意が取れたものだけ登録するというコンセンサス主義を日本が強化したわけだ。

その意味では、韓国と論戦するのはいいが、紛糾すれば登録できないという話にもなってくる。
記憶遺産と世界遺産は別だという意見はあるけれど、それでは通らないと思う。そのことを国会議員たちに聞いてみると、知らない人がすごく多い。
ただ、“歴史戦”という論戦に勝利して、登録を目指すんだと言う。
ちょっと待ってよと。今のユネスコのコンセンサス主義、全会一致原則を強化したのは日本なんであって、紛糾すれば紛糾するほど、登録が難しくなるんだと。


だから僕は“登録できないことを前提に戦え“派。安倍さんは「登録の可能性が高い」とテレビで言っていたが、日本がそういうルールにしたことは、国民にちゃんと伝えないといけないと思う。

橋下:安倍さんや高市さんは“記憶遺産と世界遺産”は違うんだと言っているが、それは多分、通らないと思う。韓国と“歴史戦”を戦えと言ってる人たちは、
元々日本が“コンセンサス主義”を強化したがゆえに、戦えば戦うほど、紛糾すればするほど登録ができなくなるよということは言った上で戦わないと。
地元の人達は、“これで登録に近づいた”と思っているから。安全保障の問題でも、戦わないといけない時に感情だけでやるんじゃなくて、ちゃんとゴールを分かった上で戦わないとえらい目に遭う。

https://news.yahoo.co.jp/articles/811045b2f2ba87c19a02156af417110db21a93b2?page=1