吉村知事は大誤算…肝いり臨時医療施設はごっつい不人気 稼働800床で利用者たった3人

重症病床使用率が緊急事態宣言の要請基準(40%)に近づき、医療が逼迫する大阪府。その一方で、吉村知事肝いりの臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」は想定外の不人気ぶりだ。

■事業総予算は84億円!

 国内最大全1000床のうち、先月末から40歳未満で軽症患者用の800床が稼働中だが、これまでの累計利用者はたった3人。事業の総予算は約84億円、1カ月あたりの運用コストは最大2億4000万円もかかるのに、これでは無用の長物となりかねない。

 昨年の「第4、5波」で入院できずに自宅療養者が死亡した事例が相次いだのを受け、吉村知事が「大阪で野戦病院をつくる」と表明したのは同年8月末のこと。10月に大阪市住之江区の国際展示場「インテックス大阪」に臨時医療施設が整備されると、吉村知事は早速、現地を視察し、ベッドの寝心地を確認。「快適に過ごせる。自宅で不安に過ごすより安心感がある」と例のドヤ顔でアピールしたが、寂しい現状ではだだっ広い空間でポツンと過ごす入所者はさぞかし不安を募らせているのではないか。

 交通の便は良くない立地だが、入所希望者には府が搬送専用のタクシーを手配する。パーティションで区切られた個室のほか、幼い子供と一緒に過ごせる家族向けの部屋も用意。全室にテレビと冷蔵庫を完備し、共用部には洗濯機や畳敷きのくつろぎスペースもある。食事は3食分の弁当が提供され、シャワーやトイレは共用だ。

なぜ誰も寄り付かない?

医療従事者も決して不足していない。現在は計27人の看護師が交代制で日勤10人、夜勤4人が常駐。常勤医師は1人で、24時間のオンライン診療にも応じる。手厚いサポートが期待できそうだが、なぜ誰も寄り付かないのか。府の見解はこうだ。

「まだ府内の宿泊療養施設に空きがあり、若い軽症患者はホテル療養を希望する傾向にある。また、オミクロン株は感染力が非常に強く、家庭内で1人が感染すると、療養施設に移る前に他の家族がほぼ全員、感染してしまう。このケースだと大体、皆さんが自宅療養を選ぶ。デルタ株による感染拡大状況との違いから、想定より利用者は少ないのが現状です」(危機管理室災害対策課)

 残る中等症患者用の200床は15日にも稼働、年齢不問で高齢者も受け入れる。肝いり施設の不発に吉村知事は「何らかの受け皿として活用する」と、まだイキっているが、ごっつい不人気は解消されるのか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/20b5ac8b91d59cf2bd173a9ebd669ec8f854838c