【北京・坂本信博】中国山西省で、時速千キロ以上で走行する超高速リニアモーターカー「真空リニア」の実験線の建設が始まった。気圧が低い低真空チューブの中を超電導磁気浮上で飛行する仕組みで、理論上は時速4千キロも実現可能という。習近平指導部は、安全面も含め世界最高水準の交通インフラを整えた「鉄道強国」を目指しており、北京や上海など大都市間を結ぶ長距離リニアモーターカー整備構想も浮上している。

 中国メディアによると、真空リニアは低真空と超電導の技術を使い、中国の新幹線(最高時速380キロ)を大幅に上回る速さで走行。山西省が重点プロジェクトに指定しており、同省の中北大と、ロケット開発などを手掛ける国有企業「中国航天科工集団」の研究機関が共同で実用化を目指す。

先月下旬から同省大同市に実物大の実験線(全長100キロ)を建設。2025年末まで実験を重ね、500キロ、1000キロと延伸する計画という。中北大電気・制御工学院の馬鉄華院長は「真空に近いチューブの中を飛行することで摩擦を低減し、銃弾の速さの秒速300メートルまで加速できる」としている。

 中国では、時速700キロで大都市間を結ぶ長距離リニア整備構想もある。広東省は今年2月に公表した28年までの土地利用計画に、同省広州と北京、香港、マカオを結ぶ路線と、同省深〓、広州と上海を結ぶ路線の検討を明記した。営業開始時期は示していないが、実現すれば、新幹線で8時間以上かかる北京−広州間が3時間に短縮されるという。

 上海では98年にリニアが営業運転を開始しており、浦東国際空港と市街地の約70キロを結んでいる。