緊迫するウクライナ情勢が穀物相場に波及しつつある。
ロシアとウクライナは小麦やトウモロコシといった穀物の主要輸出国で、軍事衝突が起これば、両国からの供給が滞る懸念がある。
日本は両国から調達はしていないが、相場が跳ね上がる可能性も高く、小麦の輸入価格などが時間差で上昇しかねない。食品価格のさらなる値上げを心配する声も出始めた。

小麦の国際指標、米シカゴ商品取引所の小麦先物価格は現在、1ブッシェル(約27キログラム)7ドル台後半と、前年と比べて2割ほど高い水準で推移している。
高値圏で上げ下げを繰り返す中、天候などのほかに相場を動かす要因として加わったのがウクライナ情勢だ。

ロシア、ウクライナは小麦や大麦、トウモロコシの主要輸出国で、ロシアは小麦輸出で約2割を占めて1位、ウクライナはトウモロコシ輸出16%程度で4位。
主な取引先は中東やアフリカなど水資源に乏しく、穀物を輸入に頼らざるを得ない地域だ。

日本国内の製粉関係者は、「ロシア、ウクライナを調達先とする需要国は軍事衝突で買えなくなれば、他の国からの調達に切り替えようと動く。
(調達は続けなければならないので)相場が高くなる可能性がある。日本も影響を受けないわけではない」と話す。

小麦の国内需要の9割を輸入に頼る日本は北米やオーストラリアから主に調達する。輸入小麦は政府が買い付け、製粉各社に売り渡す仕組みをとる。
政府の売り渡し価格は4月と10月の年2回見直されるが、昨年10月の改定では、直近半年間の国際価格の上昇などを反映し、同4月と比べ19%の引き上げとなった。
これに伴い小麦粉は値上げされ、パンや即席めんなど加工食品の価格にも波及した。

今年4月の改定は昨年9月以降の平均買い付け価格を反映する。ウクライナ情勢で既に上昇圧力がかかっており、今後の行方次第では影響が及びそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b050191c1cadb2ef76c4faad2ad9f5c21be3aa38