感情の起伏が乏しくなります。健康な人が日々感じる、喜ぶ、怒る、哀しむ、楽しむ、といった感情が弱くなり、実際に表情の変化も乏しくなります。
意欲が減退します。勉強だけではなく、遊ぶことにも、それまで好きだったことにも関心が弱くなります。部屋の中をきれいにすることや身だしなみにも無頓着になります。
家族や友人を含め、ほかの人と会ったりコミュニケーションしたりするのを避けるようになります。外出することを避け、自分の部屋にひきこもる人もいます。
陰性症状には、このほかさまざまものがあります。ここで書いた症状がすべての人に起こるわけではなく、また、その程度も、人それぞれです。

4. 記憶・注意・判断などの力が低下

勉強や就労をはじめ、生活のさまざまな場面で影響を及ぼすこともあります。

「陽性症状」「陰性症状」と並んで、統合失調症の症状として注目されるようになってきたのが「認知機能障害」です。認知機能というのは、記憶したり、注意を適切に集中させたり、計画を立てたり、判断したりする能力のことです。健康な人は、それとは意識せずにこの認知機能を働かせていますが、統合失調症の場合、この機能が低下します。
認知機能障害の低下は、勉強や就労をはじめ生活のさまざまな場面で大きく影響します。記憶する力が低下すると、新しい仕事のやりかたを覚えることが難しくなります。作業の途中で、どこまで終了したかわからなくなることもあります。注意が適切に集中できないと、相手の話に集中しないといけない場面で、ほかのことに注意がそれてしまったりします。必要のない情報まで入ってきて、処理しきれず混乱することもあります。計画したり判断したりする力が低下すると、仕事だけではなく、生活の中で、たとえば炊事をする場合にも困難が起きます。
人によって、どの認知機能がどの程度障害されるか異なります。適切なリハビリテーションを受けることが必要です。

https://www.nhk.or.jp/heart-net/kokoro/ts/index03.html