<戦争に勝つには産業力と経済力が不可欠。制空権を奪えず、サイバー攻撃もできていないロシア軍の実態は「ポチョムキンの軍隊」だった>
戦争とは意志と意志の戦いだ――約2世紀前、プロセインの軍事戦略家カール・フォン・クラウゼヴィッツはそう唱えた。
ならば、祖国防衛に燃えるウクライナ人は、侵攻するロシア軍より明らかに有利な立場にあるだろう。
だが戦争に勝利するには、意志を支える軍事手段がなければならない。そのためには、産業力と経済力が不可欠だ。
ロシアの経済力と産業力はせいぜいでも中規模国家レベル。
製造業生産はドイツの半分で、EU加盟国のGDP合計はロシアの10倍近い
しかも、欧米による新たな経済制裁の打撃はこれからだ。
国防費増額に消極的だったドイツは2月末、ウクライナ侵攻を受けて、
今年度の防衛予算を1000億ユーロ超に引き上げると発表したが、それでもGDPに占める割合は2.5%ほどだ
一方、ロシアの国防費はおそらくGDPの4%を上回る。
ただロシアも経済に占めるシェアこそ大きいものの、特に「大国基準」に照らせば、金額自体は控えめだ。
2020年の軍事費はドイツが500億ドル強で、ロシアは推定約600億ドルだった。
こうした支出水準やロシアの統治システムにはびこる汚職を考えると、長期戦に耐えられる現代的な大規模戦闘部隊を構築しながら
桁外れの核戦力を維持し、大国としての野望を世界規模で推し進めるのは不可能な偉業だ。
ロシア軍の実態は「ポチョムキンの軍隊」でしかなかったらしい。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/03/post-98285.php