地下室に手りゅう弾投げるロシア兵、逃げ出した子供を銃殺…相次ぐ「戦争犯罪」証言
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ロシア軍によるウクライナの民間人に対する戦争犯罪行為が、被害者らの証言で相次ぎ明らかになっている。成人男性だけでなく、無抵抗の女性や子供にも容赦ない暴力が加えられた。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」は、ロシア軍が一時占拠した地域の住民10人から電話などで聞き取った証言をまとめ、3日に報告書として発表した。
それによると、北部チェルニヒウ州の村では2月27日、6人の男性が射殺された。息子(29)と義理のきょうだい(39)が殺害されたという女性は、息子らの遺体は頭部に弾痕があり、手は後ろ手に縛られていたと証言した。抵抗できない状態に置かれ、射殺されたらしい。露軍は3月7日まで、息子の埋葬も認めなかった。
処刑同然の行為は各地で横行したようだ。首都キーウ(キエフ)近郊ブチャでは3月4日、Tシャツで頭を覆われ、ひざまずかされた男性5人のうち1人が、後頭部を撃たれて死亡した。
子供が殺害された事例もある。キーウ近郊の村では、3月6日、ロシア兵が地下室に手りゅう弾を投げ込み、逃げ出してきた女性と14歳の子供を撃った。一緒に地下室にいた男性は「子供はその場で、母親は2日後に死んだ」と話したという。
性暴力
女性への性暴力の報告も相次いだ。31歳の女性は、東部ハルキウ(ハリコフ)州の村にある学校に避難中の3月13日深夜、窓ガラスを割って侵入してきたロシア兵に銃で脅され、性的暴行を受けた。
ロシア兵は名前を告げ、「20歳だ」と言ったという。女性はナイフで首や頬を切りつけられた。翌日にロシア兵が立ち去り、女性と家族はハルキウにたどり着き簡単な治療を受けたという。
HRWは他にも、チェルニヒウ州の村や南東部マリウポリで3件の性暴力の報告を受けているという。HRWのヒュー・ウィリアムソン欧州・中央アジア局長は、「ロシアが占拠していた地域における性暴力、殺人、暴力行為については戦争犯罪として調査されるべきだ」と訴え、事実関係の徹底究明を求めている。
露軍部隊の統率の乱れも浮き彫りになった。3月4日、キーウ北西イルピン近郊の村では、施錠された住宅に窓を割って侵入し、カバンなどを持ち去るロシア兵がいた。チェルニヒウ州の村で、ロシア兵が煮炊きや暖を取るために使用する木材をすべて持ち去ったという証言もあった。
集団埋葬
ロシア軍の民間人殺害の全容解明には長い時間を要するのは確実だ。米CNNの報道によると、ブチャにある集団墓地では、住民の男性がきょうだいの埋葬された場所を探し当て、「やっと見つけた」と涙ながらに話した。
墓地はロシアの侵攻初期から掘り始められたという。ブチャの当局者は「300の遺体がある」と推定しているが、実際に埋葬されている人数は判然としない。