厚生労働省は13日、歯科治療で用いられる銀歯の材料の公定価格を特例的に緊急改定し、5月から約8%引き上げることを決めた。素材となる希少金属「パラジウム」が、主要産地・ロシアのウクライナ侵攻による供給不安で価格が高騰しているため。同日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で了承された。 銀歯治療は公的医療保険の対象。銀歯の公定価格は4月に改定された際、1グラム当たり3149円だったが、5月からは8・38%増の3413円となる。治療内容で異なるが、奥歯1本を銀歯治療した場合は、患者の窓口負担(3割)は180円程度の値上げになるという。 ロシアはパラジウムの世界の生産量の4割を占める。公定価格を市場価格が上回る「逆ざや」となり、医療機関の経営を圧迫しているとして、日本歯科医師会などが政府に対応を求めていた。 パラジウムなど銀歯の素材は元々価格の変動が大きく、変動幅が一定を超えた時に公定価格を随時改定してきた。今年度からは柔軟に対応するため、1、4、7、10月の年4回、価格を見直す仕組みを導入したばかりだが、厚労省は「ウクライナ情勢という想定されなかった特殊事情がある」として、緊急改定が必要と判断した。【神足俊輔】
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