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新型コロナウイルスのオミクロン株について、現在使われているメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの2回接種では肺や鼻のウイルス量を30〜50分の1しか減らせないことをハムスターの実験で確認したと、東京大などの研究チームが26日発表した。

 再感染した場合でも鼻からは一定量のウイルスが検出されたといい、チームは「今後も出現してくるであろう変異ウイルスに対して、幅広く対応できる免疫を長期間に渡って誘導できるワクチンの開発が必要だ」と指摘している。

研究成果は米科学誌「セルリポーツ」電子版に掲載された。

オミクロン株は、ヒト細胞への感染やワクチンの効果に関わる表面のスパイクタンパク質に30カ所以上の変異を持つ。一方、現行のmRNAワクチンはパンデミック初期の従来株の遺伝子情報をもとに設計されているため、オミクロン株に対する有効性の低下が指摘されている。

チームは、モデルナ社製mRNAワクチンの接種から7カ月たったハムスターに、従来株またはオミクロン株をそれぞれ感染させ、肺と鼻のウイルス量を調べた。

その結果、未接種での感染と比べ、従来株への感染では、1回接種で100分の1、2回接種で10万分の1に肺と鼻のウイルス量が減少。一方、オミクロン株への感染では、1回接種では目立った効果はみられず、2回接種でも肺で50分の1、鼻で30分の1程度しかウイルス量を抑えられなかった。

また、従来株への感染から7〜22カ月が経過したハムスターにオミクロン株を再び感染させたところ、肺からはウイルスは検出されなかったが、鼻からは一定量が検出されたという。

チームは「鼻で増えたウイルスが、未感染で感受性の高い別の個体に飛沫伝播(ひまつでんぱ)していく可能性が考えられる」としている。