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ロシアの軍事侵攻で攻撃されたウクライナ北部チェルニヒウから、親族を頼って奈良市に避難してきた女性が26日、市役所で会見した。
街の様子について、「家や学校が壊され、水や電気もない」と話した。

女性はマリア・セルゲエワさん(26)。2日に奈良市に到着し、現在は姉ダリーナさん(27)の家に滞在している。

チェルニヒウは人口約30万人の文化都市で、ロシアとの国境からはわずか数十キロ。ロシア軍の侵攻で1カ月にわたり封鎖されて空爆を受け、最近解放された。

マリアさんは研修医だった。「私は病院を安全な場所だと思っていましたが、3月に病院にミサイルが落ちた時、みんなが怖くなった」と避難を決意した。

軍事侵攻から3週間後に同僚と車で首都キーウ(キエフ)へ。さらに別の街を経由してポーランドに出国し、姉が手配した航空券でワルシャワから関西空港に入った。

「ロシア軍は市民を攻撃し、街を破壊した」「毎日人が亡くなり、お葬式もできなかった」と語る。医者である父親が働く病院にはウクライナ人の負傷者が入院し、子どもが運び込まれた病院もあったという。
両親と、ロシアの侵攻後に軍に入ったエンジニアの夫はウクライナにとどまっている。両親とは連絡がとれていないという。

「やっと安全な場所に着いて少し安心した」と支援者への感謝を述べ、「家族も生活もウクライナにある。なるべく早く帰りたい」と話した。
奈良市によると、ウクライナから市内への避難は初めて。
市は生活支援金としてマリアさんに20万円を支給することを決めた。支援の長期化や避難する人の増加を想定して、市営住宅12戸を準備しているという。(富岡万葉)

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