■体罰・暴言「愛のむち」で脳が変形する?

──研究で体罰や暴言が脳に影響を与えることが明らかになりましたが、大人によるどのような行為が「不適切」なのでしょうか?

私は「マルトリートメント(マルトリ)」という言葉を使っていて、「避けたい子育て」という意味です。子どもを叩く、暴言を吐く、子どもの前で、両親間で殴る蹴る、罵倒する、私もやってしまいましたが、1人で子どもに留守番をさせるなども含まれます。

──脳への影響は

1回で脳が変形したり、物理的に変わることはないですが、頻度や強度が増した時、脳の様々な領域が物理的に変形することが私が2003年からハーバード大学と一緒に行った研究でわかってきました。アメリカで、ベルトで叩くなど厳格な体罰を4~15歳に受けた人を集めて脳画像を比べた結果、前頭前野という感情や理性をつかさどる所の一部が、そうした体罰を受けていない人に比べ、平均19・1%減少していました。そうすると、うつ病の一種になる、場合によっては非行や犯罪に手を染める素行障害が出てきます。おかしいですよね。親が子どもの悪い行いを正すために良かれと思った体罰が、子どもに精神症状を出させたり、非行に走らせる。愛のムチが1個も子どもにいいことをもたらさないとわかった。体罰は百害あって一利なしと言われている。「お前なんか生まれてこなければよかった」といった言葉を言われて育った人の脳は、聴覚野という声や音を知覚する部分が増加、変形していました。

2へ続く
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/22086911/
https://i.imgur.com/56sCnM6.png