舅の四十九日を過ぎたころ、優子さんの夫と妹は遺産分割の話し合いをもちました。

優子さんは、義妹が一切の介護をしなかったとはいえ、生活の大変さを訴える妹にはそれなりの遺産を渡すことになるだろうと覚悟していました。しかし、予想を超える展開になったのです。

「お兄ちゃん、私、子どもたちを抱えて本当に大変なの」

「わかってるよ。大丈夫だ、親父の財産は全部おまえにやる」

その会話を聞いた優子さんは言葉を失いました。

それからしばらく、夫と義妹は和やかに談笑し、義妹は帰宅していきました。

義妹の帰宅後、優子さんは夫に詰め寄りました。

「よく簡単に〈全部お前にやる〉なんて言えるわね、だれがあなたの両親を介護したと思ってるの!?」

「なんでそんなに怒るんだ。本当に君は心が狭いなあ。うちは普通に暮らしていただけじゃないか。君は働いていないからわからないだろうけど、妹は子どもを抱えて仕事して大変なんだぞ。
家族が守ってやらなくてどうする。僕たちは身軽なんだから、この家も妹にやって、どこか小さいマンションにでも越して…」
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