この2人、実はゴールドマンサックス時代の同僚で、会うのは23年ぶりなのだとか。
当時からアトキンソンさんは「19の主要銀行のうち4行しかいらない」などと過激なアナリストリポートを書いていたらしい。
結局、日本のメガバンクは合併を繰り返して3行になったわけだから、先見の明ありすぎ!
さて、本題の「日本の給料」。入山さんが一つのファクトを提示する。
2000年以降、各国が賃金を上げていく中で、日本の賃金だけ停滞したままなのが一目瞭然!15年には韓国にも追い抜かれた。

 アトキンソンさんは「日本は人口が多かったから経済も大きかっただけ。今まで生産性が高かったことはない。上げる努力もしていない。日本の賃金が上がらないのは当たり前」とばっさり。
松本さんも日本の課題を「全員で一緒の値段をつけようとする」と指摘。
例えばプロ野球。選手全員の給料が同じチームと優れた選手にいっぱい給料を払うチーム、どっちが強くなるんですか?
それはもちろん給与にメリハリをつけたチームのほうが強くなって、収入が増えてまた給料をたくさん払えるでしょと。
いつまでも昔ながらの終身雇用と同じ給与体系でやってるから生産性が落ちて、こういう現状になった――。もっともな分析だ。

 日本には大小含めて360万社の企業がある。アトキンソンさんは「生産性が上がらないさまざまな要因があって、なかなか1つでは説明できない。
大企業を見ると、株主利益至上主義、終身雇用、イノベーションが起きていないという問題がある。
でも、中小企業には別の問題もある」と指摘する。さらに「日本経済新聞は、実は日本上場企業経済新聞。大企業のことしか書いていない。
日本の企業と言ってひとくくりにできない」。批判の矢は、こちら側にも飛んできた...。

 ここで松本さんが1つの見解を示す。「日本は退出によるメリットが少ない」。だから、競争力が低い企業が退出して新しい会社が生まれるという新陳代謝が起こらない。
「日本はどの企業も潰さないでやっていこうとするから、結局生産性の低い企業も残っていく。本当は、強いところに寄せていって生産性を上げることをやらなくちゃいけない」。

 入山さんが次のファクトを紹介する。日米の上場企業の設立年を比較したグラフだ。アメリカで1番多いのは1995~2004年の設立企業。
アマゾン、ネトフリ、FB...そうそうたる顔ぶれ。一方、日本は1945~54年が最も多い。いってみれば、20歳の若者と70歳の高齢者が戦っているような状況だ!

 新陳代謝が進まない日本、どうやって変えていけばいいのだろうか?「難しいですね」苦笑いする松本さん。やはり簡単な処方箋はない。
「日本には会社を簡単に潰さない仕組みがあり、不動産の流動性が上がりにくい仕組みがある」と松本さん。雇用もそう。
日本の金融機関のコールセンター員は国内居住者じゃないとだめらしい。法律でそう決まっている。
「そういうことを一個一個見て、減らしていくことが大切」とのこと。うーむ、地道な作業だ。

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