タケノコ採りの男性、カモシカに襲われ負傷 白鷹|山形新聞
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白鷹町下山で8日、タケノコ採りをしていた近くの男性が、突然現れたカモシカに襲われ、両脚や脇腹を負傷し、救急搬送された。本来、警戒心が強いカモシカは、人を襲うことはほとんどないが、5~6月の出産期は気が立っていることもあり、専門家は「基本的に危険性はないが、適切な距離を保ってほしい」としている。

遭遇したら…冷静に、距離取って

野生動物獣医師の東英生さん(66)=山形市東山形2丁目=によると、カモシカは警戒心が強く、人が近づくと逃げるため、襲われるケースはほとんどないという。ただ、わなに掛かっていたり、狭い場所に追い込まれたりと、逃げ場がない状態で手を出すと攻撃してくることがあるという。

カモシカは鋭い角を持ち、片方が死亡するほど激しくけんかすることはまれにあるが、相手を人間と間違えることはない。目は悪いものの、動きには敏感で区別は付くという。突然、目の前に現れても驚かず、落ち着いてその場を離れることが大事とする。

2020年に愛知県でカモシカの角で刺された男性(70)が死亡したケースもあるが、誤ってわなに掛かったところを逃がそうとした時に攻撃されている。近年は、カモシカが誤ってイノシシのわなに掛かって死ぬ事例が全国的に増えており、空いた縄張りに新しく入ろうとする個体が攻撃性を持つことがあるとする。

また、5~6月は出産期に当たり、雄、雌ともに気が立っていることがあるが、「基本的に何もしなければ危険性はない。捕まえようとか、追い払おうとはせずに距離を取ってほしい」とアドバイスする。

【カモシカ】 ウシ科の哺乳類。体長は約1.5メートル、肩高は70~80センチほどで短い一対の角を持つ。1955(昭和30)年に国の特別天然記念物となり、本県では82年、県獣に制定された。木の葉や草木を採食し、単独か親子連れで生活することが多い。県内では奥羽山系、飯豊・朝日山系、出羽山地などに生息。近年は街中でも目撃されるケースがある。