ロシア軍に協力、ウクライナの裏切り者に裁き


ロシア軍はウクライナ首都キーウ(キエフ)北部の当地に進軍してまもなく、地元の起業家でほぼ無名だったオレクサンドル・カルチェンコ氏(39)を新町長に任命した。カルチェンコ氏は不可欠な公共サービスを再開するため、そしてロシアに総じて敵対的な地元住民を懐柔するため、占領したロシア軍に自ら支援を申し出た。

 ロシア国防省が3月28日に公表した動画によると、カルチェンコ氏は「ウクライナのメディアを信用しないで。ロシア兵は敵意を抱いておらず、普通に近寄ってすべての問題を一緒に解決できる」と呼びかけている。この動画は、ロシア軍がデマルで食料や医薬品を配布しているもようとともに撮影された。「怖がらないで、地下から出てきて」

 その5日後、ロシア軍は突然、デマルから撤退した。ウクライナ北部全体で強い抵抗を見せていた同国軍の圧力に屈したためだ。だが、ロシア軍はカルチェンコ氏を連れて行かなかった。突入してきたウクライナ軍がカルチェンコ氏の車に銃撃を浴びせたが、彼はなんとか生きのびた。現在は身柄を拘束され、敵に協力した罪で裁かれる公判の開始を待っている。
https://jp.wsj.com/articles/in-a-ukrainian-town-a-collaborator-who-worked-with-the-russians-now-faces-justice-11653007987