バイクを購入した際に、「慣らし運転」をしっかりとやるべきだというアドバイスを受けたことはありませんか。そもそも慣らし運転とは一体どういったもので、本当に必要なのでしょうか。

バイクの慣らし運転は、一定の走行距離に達するまでの間エンジン回転数を抑え、急加速・急減速・急ブレーキを避けて走ることを指しています。これは、慣らし運転中にフロントフォークやサスペンションなどの可動部分や、エンジン内部など部品同士を擦り合わせ、言葉通りに「慣らす」ことが目的です。

 そのため慣らし運転は、金属部品を製造する技術が発展途上だった時の名残りといわれています。

 当時は、製造された部品と部品の噛み合わせが不十分であったため、機械を動作させて最終的な調整をして仕上げるのが当たり前だった時代。しかし現在は、作られる部品の精度が高いため、噛み合わせの問題は起きにくいとされます。そのため、慣らし運転は不要とされる意見には説得力がありますが、メーカーは新車の慣らし運転を推奨しています。

 慣らし運転の走行距離は、メーカーや排気量によって異なり、ホンダのWebサイトでは500km、カワサキは1000kmまでは慣らし運転をすることを推奨。慣らし運転をするメリットとしては、バイクの性能を維持して寿命を延ばせる点や、初期不良の発見などの役割が挙げられます。

 例えば、新車のバイクは組み立て工場から出荷された後に、一定の距離を走行し終えると、振動などでネジが緩む場合があります。そのため、慣らし運転後に一度ネジのゆるみがでていないか、点検することが推奨されているのです。

 また、エンジン内部の新しいパーツ同士が噛み合ったり擦れ合うことで、金属の塵や細かなバリが発生。これらの塵は、エンジンオイルに混ざってオイルパンやオイルフィルターに溜まるため、慣らし運転後の初回点検では、エンジンオイルやフィルター交換が項目として入れられています。

 これらの理由により新車購入後、一定の走行距離(500km、1,000kmなど)に達したら、ネジゆるみの点検やオイル交換、ドライブチェーンの張り具合を確認できる初回点検を受けると安心です。

 初回点検は、登録または届出した日から50日以内であれば、バイクを購入した店舗で、無料で受けることができるため、忘れないでください。

https://bike-news.jp/post/256732