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お母さんは何を思って私の許可無く、私の個人情報を書いて、出版したんだろう。
本を出版する、たくさんの人が関わって、たくさんの大人が確認して、たくさんの人がお金を払って買って、そして私はごはんたべたりする。
最終的に私がご飯を食べているからそれでいいのでは?と、思ってしまっていたけれど、個人情報をつかって印象操作をしたり、人が嫌がっていることを無理矢理することはぜったいに許されることじゃない。
出版社に勤務する、普段から言葉に係わり、本を作っている大人たちが、未成年の個人情報をなぜ無断で書いてそれを販売していいと判断したのだろうか。それは、お母さん、作者1人の問題じゃない。
子どもを傷つけること、それは未来を傷つけることだ。
今まで私が全て間違っていました、ごめんなさい、と、実家のダイニングでお母さんに言われた時。
対角線上に座るお母さんと、泣いている私。
5年前のちょうど今頃を思い出す。
出演した舞台の初日が終わった日、お母さんは書かないでと言ったことをsnsに書いた。
嫌がっている私を、むりやり、押さえつけて、抵抗が無くなるまで。
抵抗しなかったから、という判決が出る事件が今も、どこかで起きている。
snsは、怖いもので、1度載せたものは絶対に消えないし、そこから枝分かれしていく情報は、更に消すことが出来ない。わたしは、大切な作品と旅しながら、作品もわたし自身も、ひとつのフィルターを通してみられている事を感じて、心はおもたく、空になっていった。
幼くて、処女で、純情で、笑顔な私でいなければ、と、努力していたら、最近まで、自分が第一人称じゃなくなっていた。
わたしが、誰かに押さえつけられて、抵抗せずに数年生きていたら、心身ともに傷だらけになっていて、もう、二度と、元の体には戻れなくなってしまった。
元の体、私のからだの本当は、なんなのか、もう分からない。
 
謝れば終わる事だと、思っているのだろう。
娘、という存在として何も言えなかった。ただ私は、これ以上言葉で人を傷付けないで、性差をこれ以上作らないで、と伝えた。お酒を飲んでいてふわふわしているお母さんは下を向いてぼーっとしたあと、お皿を洗いに行った。
お母さんはきっと、誰かに謝った方が良いんじゃない?ってさとされたんだろうな。
誰か?だれ?1人?たくさん?おおきなもの?
お母さんがかかえる大きなものをわたしは、理解できないし、お母さんにとって子ども以上に守らなきゃいけないもの、って、なぁに?
もう既に出版したものを回収するつもりもないし、これからもきっと刷るんだと思う。
壊れたものは治せないし、ひよちゃんに許してもらいたい訳では無い、って言ってて、
わたしは完全に壊れてしまったけど生きていたいからたくさんの人に治してもらっているけれど、お母さんはなおしてくれない。
 
教育本と名乗って存在するその本は、たくさんの大人が買って、たくさんの子どもが読むことになるんだろう、ほんとうにごめんなさい。
わたしが、止めることができなかった。この世に、誰かを押さえつけて、抵抗がなくなったから、出したものなんて、存在しちゃいけない。
 
もしわたしが、疲れて、どこかで諦めてしまっても、美談にされてしまうから、これを見ている人はそれをどうか止める人でいて欲しい。
みえない暴力を、人を殺す言葉を、
わたしは生きていたいし、生物でいたい。