近年、世界的に離婚の増加、晩婚化・晩産化の進行により家族構成が変化しており、日本ではいっそう顕著である。
また社会的問題となっているうつ病と家族構成との関連も報告されている。
国立がん研究センターがん対策研究所予防関連プロジェクトの研究グループは、
多目的コホート研究JPHCのデータを用いて家族構成とうつ病との関連を調べた結果を
Transl Psychiatry(2022; 12:156)に発表。
子供との同居とうつ病リスク低下に関連が認められ、男性でのみ有意差が示された。

同居家族で分類して検討
 欧米の先行研究において、独居がうつ病リスクを高めることが報告されている。
しかし、家族構成とうつ病の関連についての研究はほとんどない。
さらに既報の大半が、うつ病を自己申告の質問票で評価しており、
精神科医が診断したうつとの関連を検討した研究はなかった。
そこで研究グループは、家族構成(配偶者、子供、親との同居の有無)と
精神科医により診断されたうつ病との関連を調査した。

 研究グループは「今回の対象には単身者が少なく、独居とうつ病発症との関連は調査していない。
参加者は当該地域の人口の14%であり、結果を一般に当てはめることはできない。
精神疾患の家族歴や収入などの情報は収集しておらず
残存交絡因子の影響は排除できない」と研究の限界を挙げたうえで、
「子供との同居とうつ病リスクの低下に関連が示された」と結論。
「2016年版厚生労働白書では、老後に不安なことの第1位が健康上の問題、第2位が経済上の問題と報告されている。
1970年代以降、独居の世帯や高齢の親と同居している世帯の割合が増加しているが、
子供との同居により社会的・経済的支援を受けられやすいことが、
ストレスの緩和やうつ病の予防につながった可能性がある」と考察している。

https://medical.jiji.com/news/52736