日本文学振興会は第167回芥川・直木賞の候補作を発表した。芥川賞は史上初めて5人の候補者全員が女性となり、直木賞も5人中4人を女性が占めて、女性作家の勢いを示した。選考会は7月20日に東京都内で開かれる。

芥川賞は、5人中4人が初のノミネート。小砂川(こさがわ)チトさんと年森瑛(あきら)さんの作品はそれぞれ、今年の群像新人文学賞と文学界新人賞の受賞作。鈴木涼美(すずみ)さんは元新聞記者で作家・社会学者として活動。歓楽街で生きる娘と、死を前にした母の関係を描いた初の中編小説で候補に入った。山下紘加(ひろか)さんは2015年に文芸賞受賞。祖母の介護に振り回される19歳の女性を描いた。高瀬隼子(じゅんこ)さんは19年デビューで、前々回に続いて2回目の候補入り。食べ物を軸に職場の人間関係を浮かび上がらせた。

直木賞の窪美澄(みすみ)さん、呉勝浩さん、深緑野分(ふかみどりのわき)さんは候補3回目の実力派。窪さんの作品は人生で繰り返される出会いと別れの哀切を切り取った短編集。呉さんは「霊感」を持つという男性が予告する連続爆弾事件と警察との攻防劇で、深緑さんは映画の特殊効果に夢をかける2人の女性の軌跡を追う作品で、それぞれ候補になった。

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毎日新聞2022/6/17 05:00
https://mainichi.jp/articles/20220616/k00/00m/040/200000c