日銀がヘッジファンドに負ける?戦う中央銀行、FRB・ECBは連戦連勝だが日銀は苦戦

 日米欧の中央銀行は近年、市場と戦う存在となりつつあります。株や長期国債などのリスク資産を「下落局面で買って反発局面で売り抜ける」ヘッジファンドのようなことをやっています。最初にそれを始めたのは、米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)でした。続いてECB(欧州中央銀行)、そして日本銀行が、リスク資産を買って勝負するようになりました。

 中央銀行が市場と戦って敗北すると、大きな問題が起こります。買い付けたリスク資産が下落すると中央銀行の財務が痛みます。保有資産が急落して巨額の含み損が発生し、中央銀行が債務超過になったら大変です。中央銀行が発行する通貨の信用が失墜し、国家全体の信用が毀損(きそん)するリスクもあります。

 そういう事態を招くことがないよう、伝統的な中央銀行はリスクを取りませんでした。かつての中央銀行は、短期国債しか買いませんでした。

 中央銀行は、紙幣(中央銀行の借り入れ証・日銀で言えば日銀券)を刷って流通させることによっていくらでも無利息で資金を調達できるので、その資金で短期国債だけ買って利ザヤを稼いでいました。それしかしなければ、何が起こっても中央銀行の財務が痛むことはありませんでした。

 したがって日本銀行もFRBもECBも、伝統的な中央銀行としてふるまっていた時には、長期国債は元より、株やREIT(リート:不動産投資信託)など買うはずがありませんでした。

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