急増するベトナム人犯罪 「隠語」通訳に警察が悲鳴

警察官が容疑者に対して行う取り調べ。両者が対峙(たいじ)するドラマのワンシーンを思い浮かべる人も多いだろうが、日本語を理解できない外国人が容疑者の場合、
通訳の同席が不可欠だ。通訳業務は警察官や警察職員のほか、依頼を受けた民間の通訳が担うが、外国人犯罪の増加に伴い、慢性的な人手不足に直面している。
特に顕著なのがベトナム語。ベトナム人による犯罪の摘発件数がこの5年で約2倍と急増する中、ベトナム語を専門に学ぶ人は少なく、人材確保が急務となっている。

深夜3時に呼び出しも

「最近はほぼ毎日、取り調べに立ち会っている。通訳ができる人がおらず、深夜3時に呼び出されることもある」。大阪府警や兵庫県警の取り調べで
ベトナム語の「部外通訳人」を務める女性(49)はこう明かす。女性は10年近く前から捜査に協力しているが、近年は回数が急増。
月に20回以上取り調べに立ち会うこともあるという。

捜査で必要な通訳や翻訳は語学を学んだ警察官や警察職員だけでは足りず、多くの都道府県警で「部外通訳人」と呼ばれる民間の通訳から協力を得ている。
報酬も支払われ、警察内部の通訳と分担して取り調べの立ち会いや資料の翻訳などを担う。

通訳が必要な外国人犯罪の増加に伴い、人手不足が問題となっているが、特に深刻なのがベトナム語の通訳だ。大阪府警通訳センターによると、
同センターでのベトナム語の通訳対応件数は昨年だけで約1200件。1日平均2~3件にのぼり、前年と比べても100件近く増えている。

しかし、府警がベトナム語の通訳人として指定している職員は10人程度で、対応できない分は部外通訳人に依頼。複数の事件を同時に担当し、
警察署を転々としながら連日取り調べに立ち会う部外通訳人も珍しくない。本来は警察内部の通訳不足を補うはずの部外通訳人さえ不足している状態だ。

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https://www.sankei.com/article/20220714-UMIXLOOT3ZLD7MROPLEJ42FBAQ/