米エヌビディアは8日、2022年5~7月期の売上高が予想を17%下回る67億ドル(約9000億円)だったようだと発表した。81億ドルを見込んでいたが、ゲームに使うGPU(画像処理半導体)の販売が落ち込んだ。消費の減速に加え、暗号資産(仮想通貨)相場の低迷によるGPUの値崩れも影響を及ぼした。

67億ドルは前年同期を3%上回るものの、前の四半期(2~4月期)と比べ19%低い水準だ。ゲーム部門の売上高が20億4000万ドルと前年同期比で33%減り、前四半期比では44%減少するのが響く。もう1つの主力事業であるデータセンター部門の売上高は38億1000万ドルで、前年同期比・前四半期比ともにプラスだった。

ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は声明で「当社のゲーム関連製品の販売予測は、四半期が進むにつれて大幅に落ち込んでいった」と説明した。ゲーム向けのGPUは20~21年にかけて手に入りにくい状態が続いていたが、22年に入り流通在庫のだぶつきが目立っている。

エヌビディアは減速の要因を「マクロ経済環境の逆風」と説明している。消費者の購入意欲の減退に加えて影響を及ぼしたとみられるのが、マイニング(採掘)にGPUを利用する仮想通貨の相場低迷だ。マイニングをしてももうからないためGPUの需要が冷え込んでおり、中古市場ではこれまで使っていたGPUを投げ売りする動きもある。

JPモルガンのアナリスト、サンディープ・デシュパンデ氏は「エヌビディアのゲーム部門は仮想通貨(のマイニング)に使うチップも含んでいる」との見方を示す。そのため「(ゲーム市場の停滞以上に)減速が際立っている」と指摘する。

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